液化天然ガス(LNG)の主要産出国カタールは、ロシアがウクライナを侵攻した場合、米国がロシア経済制裁を発動し、報復でロシアが欧州向けガス供給を中断する事態になれば、一部のカタール産ガスの供給先を欧州向けに変更することが期待されている。写真は昨年12月、サウジアラビアのムハンマド皇太子と会談するタミム首長。ドーハで撮影。提供写真(2022年 ロイター/Saudi Press Agency)

カタール、有事に欧州へガス供給も 米国の力添えは必要=消息筋

[ロンドン 26日 ロイター] – 液化天然ガス(LNG)の主要産出国カタールは、ロシアがウクライナを侵攻した場合、米国がロシア経済制裁を発動し、報復でロシアが欧州向けガス供給を中断する事態になれば、一部のカタール産ガスの供給先を欧州向けに変更することが期待されている。事情に詳しい筋によると、米ワシントンで来週、タミム首長とバイデン大統領がこの問題を協議するが、カタールにとっては、同国ガスの購入契約者への説得で米国の力添えが必要になるという。

米政権は欧州向けのガス供給元確保が必要になった場合に備え、ここ数週間、カタールなど主要エネルギー産出国に接触してきた。

消息筋は「2011年の福島の原発事故の際のような世界的なエネルギー供給の大混乱が起きた場合」は「カタールが力になれるかもしれない」と指摘。カタールには欧州に振り向けられる余剰分がある程度あるとした。ただ、産出量のほとんどは長期契約に向けられているため、そうした余剰分はあまり多くないとし、「短期的な解決策としてガスを欧州に振り向ける場合は、大口のカタール産ガスの顧客に対して米国などからの説得が必要になるだろう」と語った。

カタールはLNG輸出をより長期的に大きく拡大させていきたい意向。消息筋は、欧州連合(EU)がエネルギーの安全保障を確かにし、将来的な供給混乱を回避できるようにしたいなら、EUがLNGの長期契約締結を考えることが必要だと指摘した。

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