ギリシャ神話より:人類の起源(上)火を得る

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古代ギリシャ神話の多くは、吟遊詩人によって詩の形で伝えられました。後世の人は、それらの詩を基礎にして整理し、一つの体系をつくったのです。

そのなかには、人類の起源について触れた部分がいくつかあります。

一説によると、神々は「人間を創る任務」をプロメーテウスとその弟エピメーテウスに託したと言われています。
「先見の明」を意味する名をもつプロメーテウスの知恵は、神々をも超えるものがあります。一方、「後になって明を知る」を意味する名のエピメーテウスは、いつも衝動的に行動し、性格も怒りっぽく、何かをすると必ず後悔するのです。

人間を創造する以前のことです。エピメーテウスは動物を創造するにあたり、体力や速さ、勇気などの長所のほか、羽毛や毛皮、空を飛ぶための翼、体を包む堅い殻などを与えていました。

さて、いよいよ人間を創るとなると、もはや与えられる同じ長所はありません。それゆえ、人間には、動物に匹敵する利点がないのです。

エピメーテウスはまた後悔して、兄のプロメーテウスに助けを求めました。そこでプロメーテウスは、弟の使命を引き継ぎ、人間を創造する仕事を始めます。

プロメーテウスは、人間を動物より優れたものにする良い方法を考え出しました。

彼はまず、人間の外見を神のような高貴な姿にしました。次に、「天庭」に上っていき、太陽種を少し借りてきたのです。プロメーテウスは火種を松明(たいまつ)にうつし、両手に掲げて、大切に地上まで持ってきました。

こうして「火」は、人類にとって最高の、護身の道具となりました。これは動物がもつ体力や毛皮、速さや勇気より、もっと役に立つものです。

プロメーテウスは、こう言いました。「人類には火がある。これを使えば、いろいろな能力を身につけることができる」。

(翻訳編集・鳥飼聡)