アーユルヴェーダは、感情を浄化し、肉体を癒すことができる科学である。 (Shutterstock)

インド伝統の身体と心の癒やしの医学 アーユルヴェーダの治療法(1)

アーユルヴェーダは、歴史上最も古い医学体系のひとつで、身体と心の癒しのための科学です。アーユルヴェーダのデトックス治療は、感情を浄化し、身体を癒し、消化不良による毒素の蓄積を防ぐことで、病気を断ち切り、本来の状態に戻り、回復力を取り戻す手助けをします。

 

アーユルヴェーダのデトックスメカニズム

私が担当した患者さんの例を挙げましょう。その患者さんは会議でも壇上でも物怖じもせず、話が上手で、気難しいクライアントでも、なだめすかして受注につなげるという、素晴らしい営業マンでした。

しかしプライベートでは話嫌いで、 内外のバランスの崩れから、髪が抜け、アレルギーや肌荒れに悩まされ、顔色も次第にくすんできました。

ひょんな事から、カウンセリングを通して、その患者さんはアーユルヴェーダのバランス調整法を学び直すことになり、少しずつ消化器官のバランスを整えていくことができました。

 

火、毒物、老廃物はすべて絡み合っている

アーユルヴェーダの自然医学では、良好な消化力は健康の核となる要素のひとつであると考えられています。

アーユルヴェーダでは、あらゆる物質の変換と交換の要となる「消化の火」(アグニ)を重要視しています。消化を助ける「火」が弱いと、食べ物がうまく消化されず、体に必要な栄養素が吸収されず、老廃物がうまく排泄されないということになります。

消化されない食べ物が胃腸に蓄積されると、ガスや膨満感が発生するだけでなく、カンジダ菌などの毒素が発生し、代謝や消化機能を妨げ、善玉菌を抑制して、その後のさまざまな病気の原因となります。

アーユルヴェーダでは、体内にスムーズに吸収されなかった消化物を「アマ(毒素)」、体内の消化を助ける膵液や胃液を「アグニ(火)」、体の代謝の過程で汗、尿、便(三脈)として排泄される副産物を「マラ(老廃物)」と呼んでいます。

生命エネルギー(消化の火)のバランスが崩れると、毒素や老廃物が長期間にわたって体内に蓄積され、臓器の機能が損なわれ、解毒と浄化のメカニズムが適切に作動せず、体は日々警告サインを発します。このサインを無視し続けると、やがて取り返しのつかないダメージが引き起こされます。

さらに、環境毒素や心理的ストレス、精神レベルのトラウマや痛みも毒素を発生させます。心、身体、精神は一体であるため、身体に生じたいかなる状態も、心と精神に影響を及ぼし、その逆もまた然りなのです。

(翻訳・里見雨禾)

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