皮膚から考える全身の健康「美容から、がん予防まで」

一部の人は、外観の良さだけを求めて、美容の保養に努めます。
しかし皮膚は、全身の健康状態を反映しているのです。

「皮膚の異変」に早く気づいて

皮膚は三層からなっています。一番外側は表皮で、角質細胞でできています。この細胞は比較的硬く、体内の組織を外部環境から保護しています。角質細胞は約4週間で表皮層が剥がれ落ち、内側にできた新しい細胞に置き換えられます。

皮膚に受けたあざ、すり傷、切り傷などの小さな傷は治りやすいため、多くの人は皮膚の健康にそれほど関心をもちません。

ただし、ご注意ください。皮膚に現れたいくつかの小さな変化は、体内の大きな病気を反映している場合があります。この異変に早く気づかないと、あとで重篤な症状が現れた時には遅すぎるということにもなりかねません。

例えば、通常ならば順調に回復するはずの切り傷が、ひどい炎症を起こしたり、発疹が広がったり、皮膚に異常な斑点やこぶができたりすることがあります。そのような時は、がんの可能性も想定して、速やかに医療機関で検査する必要があります。

米国疾病予防管理センター(CDC)によると、がんは米国人の死因の第2位です。そのうち皮膚がんは、よくみられるがんの一つです。さらに世界保健機関(WHO)によると、世界のがんによる死亡者のうち、皮膚がんによる死亡者数は5番目と比較的多くなっています。

 

皮膚は三層になっています。最も外側は表皮で、角質細胞で構成されています。その下が真皮、皮下組織です。(健康1+1/大紀元)

生活の改善で「皮膚がんを予防」

各種のがんの中で、皮膚がんは比較的予防しやすく、発見が早ければ治療しやすいとされています。

紫外線に過剰にさらされることが皮膚がんを誘発する危険因子であることは、よく知られています。そのほか、漂白剤を含む一般的な家庭用洗剤であっても、過剰に使用することで皮膚が損傷を受ける場合があるので、注意が必要です。

喫煙は、もう一つの恐るべき「皮膚キラー」です。喫煙は、血流と血管に重大な影響を与え、皮膚に届く酸素と血液の量を減らします。これが皮膚の老化を早め、肌にしわを作る原因になるのです。

また、飲酒も肌には良くありません。アルコールには利尿作用があるため体内の水分を排出させますが、水分は皮膚を潤す重要な栄養の一つですので、飲酒の習慣がある人は肌の老化も早いと言えるでしょう。

皮膚の健康を保つために、水分とともに十分なビタミンを摂取してください。
毎日の食事では、精製された炭水化物と質の悪い脂肪の割合を減らし、野菜類や全粒穀物を十分に摂取することで、艶のある健康的な肌を保つことができます。

お風呂で肌を清潔に保つことは大切ですが、洗う動作は力を入れ過ぎないでください。また、強アルカリの石鹸を使ったり、長時間お湯で洗い流すと、つやを保つために皮膚についていた脂まで落としてしまいます。

適度な運動は血液循環を促進し、より多くの栄養を皮膚細胞に送ります。それは、コラーゲンの形成を促進することで皮膚に弾力をもたせ、皮膚の正常な細胞代謝を保ちます。
 

紫外線にさらされすぎることは、皮膚がんを引き起こす要因になります。(Shutterstock)

(文・Bill Lindsey/翻訳編集・鳥飼聡)