ハッブル宇宙望遠鏡で見た相互作用銀河、Arp143(NASA、ESA、STScI)

宇宙に描かれた大トライアングル 若い星が数多く生み出される

2月22日に、「ハッブル宇宙望遠鏡研究チームは、二つの銀河系が重力を介して、互いに重なり合い、影響を及ぼし合っている様子の画像を公開しました。相互作用銀河とみなされている、この二つの銀河系はガスやを引き寄せていて、巨大な三角形を描き、この区域には若い星が数多く観測されました。

上の写真の向かって左側がNGC2444、右側がNGC2445で、二つ合わせて「Arp143」と称されています。研究チームは二つの銀河系が正面衝突したことによって、繋がるようになったと分析しました。

銀河は大部分がほとんど何もない空間なので、星が衝突することなく、出会ったり通過したりしています。しかし、ある銀河から別の銀河へと移動する物質が、ガスの雲を圧縮して新しい星を作っています。こうして新しい星が次々と生まれることをスターバーストといいます。

ワシントン大学の元教授、フラットアイロン研究所に所属する天文学者のジュリアン・ダルカントン氏は今までの経験によると、二つの銀河系が正面衝突した後、リング状になって、スターバーストが発生するのは普通だが、今回のような三角形になるのは極めて異例だと説明しました。

トライアングルになったきっかけは二つの銀河系の相互作用で、右のNGC 2445からは左のNGC 2444に向かってガスや星が引き寄せられていて、巨大な三角形を描いています。

NGC 2445が描いた三角形に若い星が数多く観測されており、これらの星々を生み出したのはNGC 2445のスターバーストで、NGC 2444との相互作用がきっかけとなって引き起こされたと考えられています。

               

(翻訳・上山仁徳)

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