「正体いまだ不明」欧州と米国で不可解な小児肝炎が発生

米国および欧州で、小児が罹患する一連の急性肝炎が発生しており、各国の衛生当局は警戒感を強めるとともに、原因を探しています。

世界保健機関(WHO)は4月15日、英国各地の子供の間で重症の急性肝炎74件を発見したとする声明を発表しました。
このうち6人の子供は「肝臓移植が必要」と診断されるほど重症でしたが、 4月11日現在、死亡報告はありません。

主に10歳未満の小児が発症し、黄疸、下痢、嘔吐、腹痛などがみられます。
英国当局によると、確認された症例のうち、49件はイングランド、13件はスコットランド、残りはウェールズと北アイルランドで見つかったとのことです。

また、米アラバマ州公衆衛生局も同様の症例が出たとして、2021年11月から同州で子供の肝炎類似症例の調査を進めていました。

「このような子供たちは、アラバマ州の異なる地域の医療機関を受診した。彼らは、胃腸障害の症状および肝不全を含む、さまざまな程度の肝損傷を経験した」と同省の担当者はプレスリリースで述べるとともに、「この肝炎がアデノウイルス41型に関連する可能性がある」としています。

アラバマ州の保健当局によると、4月15日現在、10歳未満の9人の子供が肝炎を発症しており、年齢は1歳から6歳までを中心にさまざまだと言います。

発症した全ての子供はアデノウイルス検査が陽性であり、そのうち2人は「肝臓移植を必要とする」というほどの重症と診断されました。アラバマ州当局によると、これらの子供たちは、これまで潜在的な健康上の問題はなかったと言います。

原因は、まだ究明中です。
アデノウイルスは感冒に似た症状を引き起こします。結膜炎や下痢を起こすこともありますが、大半は自然に回復します。ただ、非常にまれなケースとして、「免疫機能が低下している患者では、このウイルスが肝炎を引き起こすことがある」とされています。

WHOによると、実験室のテストを経て、A、B、C、D、E型肝炎ウイルスの感染が、この一連の「謎の肝炎」の原因である可能性を排除したと言います。

WHOは、「現在さらなる調査が進められているが、今後数日間で、さらに多くの症例が報告される見込みだ」としています。

英国での症例報告後、アイルランドでは5例未満の「確認または要確認」の小児肝炎が報告されています。
またスペインでも、1歳10カ月から13歳の子供で、病因不明の小児急性肝炎が3例報告されています。

(翻訳編集・鳥飼聡)

陳霆