「寝ても疲れがとれない」慢性疲労の悩みはツボ押しで解消(1)

「よく眠れない」「無理に寝ても、疲れがとれていない」
そんな慢性疲労は、現代人によくある問題です。

原因の多くは「生活の乱れ」

「あー、疲れた」。今日もどこかで多くの人が、無意識にこの言葉を口にしています。

しかし、それ自体が病気なのではなく、多くの場合、日常生活における長期的なバランスの乱れの結果と言えます。

本当に何か重大な病気が隠れていないならば、生活習慣を根本的に整えることに加えて、食事の改善やマッサージツボ押しなどいくつかの方法により、慢性疲労は大幅に改善することができます。

仕事のストレス、家庭での悩み。忙しいばかりの生活では、心身ともに疲れてしまいます。それが長期にわたると、夜になっても寝つきが悪くなったり、深くは眠れず翌朝にまで疲れが残るようになります。

さらに、精神的にも体力的にも追い詰められると、記憶力や集中力が低下したり、頭痛や筋肉痛など体の各部に痛みを感じることもあります。

 

漢方から見た「慢性疲労」

このような症状が長期間続く場合は、「慢性疲労症候群」の可能性が高いと言えます。

民安漢方医院の院長、李艾玲氏によると、「伝統的な漢方医学では慢性疲労を実症と虚症に分けます。虚症は、さらに気虚、陰虚、血虚に分けられるのです」と言います。

この場合、実症(実証)とは「もとは体に問題のない人が、有害物などの外的な要因のために不健康になっている」ことを指します。
一方、虚症(虚証)とは「もとの体の生命力が弱まって、不健康になっている」ことを示しています。

実症の患者には、例えば「肝機能の亢進症(活発すぎる症状)」がみられます。
その原因の主なものとしては、生活上のストレス、長時間の労働があります。そのような状態が連日続くなか、患者は、体力を非常に消耗していながら、しばしばカフェインの入った「眠気覚まし飲料」などを飲んで、無理に仕事を続ける傾向があります。

一方、虚症のうちの気虚の患者は、多くが長時間座りっぱなしで、いつも運動不足になっています。仕事で頭を多く使うこともあれば、普段から考え過ぎて悩むタイプの人も多いようです。

気虚の症状としては、夜に寝つくことはできますが、あまり深くは眠れないため、翌日の昼から午後になると、どっと疲れを感じやすいのが特徴です。

 

「陰と陽のバランス」が大切

では、陰虚と血虚の患者は、どのような人でしょうか。

夜も仕事をする人。あるいは深夜までドラマを見たり、徹夜でゲームをしたりする人が、この陰虚体質になりやすいと言えます。さらに、そのような生活が続くと、体の造血機能が低下するため、この陰虚がさらに進んで血虚になります。

漢方医学には陰陽の説があり、体の陰陽のバランスを重んじます。
 

陰は、臓器、血液、体液など体内の物質に関係します。陽は、エネルギー(気)と各器官の機能に関係するものです。夜更かしして、ほとんど寝ていない人は、「陰の物質」をすぐに消耗してしまうため、「陰虚」という病的な体質になってしまいます。

こうした陰虚の症状は、動悸や疲労のほか、「眠気はあるが眠れない」という不快な状態が続きます。

また、出産をした女性は、分娩時の出血と出産後の授乳のため睡眠が中断されるなどで、一時的に陰気で虚血症状がでることがあります。

しかし、これは自然なことなので、心配はいりません。母になった喜びを十分に感じて、気持ちを楽にしてください。安心してよく眠れるようになれば、母乳の出も順調で、体力の回復も比較的早くできます。
 

(次稿に続く)
(翻訳編集・鳥飼聡)
 

蘇冠米