18年6月11日、中国江蘇省淮安市で中国華能集団の40メガワット太陽光発電の建設現場にいる作業員、参考写真(VCG/VCG via Getty Images)

市民の足に中国企業バス、北海道駐屯地近くの広大な土地買収…問われる日本の経済安保=参院予算委

市民の足である路線バスに、安価な中国製の電気バスが増えている。先月可決した経済安全保障推進法で、公共交通は外資規制の適用対象だが、一定規模がなければ対象外となる。片山さつき議員は3日の参議院予算委員会で経済安保に関わる分野は同法に加え重要土地等調査法外為法による監視強化の方針の是非を岸田首相に問うた。首相は「国の安全を損なわないよう適切に対応する」と応じた。

公共交通事業者による外国メーカーの車両購入は禁止されていないが、片山氏は「ウェブ3.0の時代だ。車もあらゆる電波を発信する電子機器が入っている機械」とし、安全保障上の審査の必要性を強調した。また、外為法の外資投資の厳しい制限は民間大手鉄道会社に限られていると財務省の説明を引用した。

岸田氏は「規制措置は経済活動に与える影響を考慮して行う」とし、バスや鉄道事業も国の安全の確保の観点から外為法の指定業種とされ、投資側が株式1%以上を取得するような場合は事前届け出を義務づけているとした。

中国は電気自動車の開発を進め、日本進出にも力を入れている。例えば、中国自動車大手・比亜迪(BYD)のEVバスは相次ぎ日本の民間や自治体運営の公共交通事業者に導入されている。車両価格は日本メーカーよりも割安だ。同社公式ページによれば2015年から2022年まで大型から小型車まで計55台のEVバスが購入された。BYDは2023年までに日本国内で4000台を販売する計画を掲げている。

日本中から「それでいいのか」との声があがる

片山氏は外国資本による土地利用についての懸念事案を並べた。中国の上海電力を例に挙げ「電力発電も経済安全保障法の項目に入るが大規模事業しか制限がかからない。国民から、日本中から『それでいいのか』という声があがっている」と、国内外の安全保障環境を踏まえた上での外資審査の厳格化等を求めた。同社は大阪南港咲洲や栃木県那須烏山などでメガソーラー事業を展開する。このほか、北海道の旭川駐屯地の自衛隊電波塔の1キロ強圏内にある広大な土地を中国資本が購入した事案を取り上げた。

重要土地等調査法は今月1日に一部施行され、すでに政令・内閣府令が公布されている。9月1日からは公簿収集整理が行われる。同法は、自衛隊や在日米軍など安全保障上重要な施設の周辺や国境離島等について土地等の利用状況を調査し、機能阻害行為が認められた場合に規制を行うと定める。

岸田氏は同法で「対象となる区域内の土地等の所有利用状況の実態把握を着実に進めていくことが必要だ。施行状況で安全保障をめぐる内外情勢等を見極めた上で、政策対応等しっかりと検討を進める」と述べた。

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