写真は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を視察する金正恩総書記。3月25日、朝鮮中央通信が配布(2022年 KCNA)

北のミサイル技術は急速に進化、迎撃能力向上の努力重要=官房長官

[東京 6日 ロイター] – 松野博一官房長官は6日午前の記者会見で、北朝鮮の弾道ミサイル発射に関連し、ミサイル技術は急速に進化しており迎撃能力を高める努力が重要だと述べ、防衛力強化に向けた取り組みを引き続き進めていくとの見解を示した。

岸信夫防衛相は5日午前、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて会見し「(同時に多数発射する)飽和攻撃などに必要な連続発射能力の向上といった狙いがある可能性がある」と語った。

松野長官は、飽和攻撃には、海上自衛隊のイージス艦による上層での迎撃と航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)による下層での迎撃を組み合わせて対応することにしていると説明。その上で、北朝鮮を念頭に、ミサイル技術は急速なスピードで進化しており「迎撃能力を高める不断の努力が重要だ」と述べた。

韓国軍の合同参謀本部は5日午前、北朝鮮が短距離弾道ミサイル8発を東岸沖に向けて発射したと発表した。1回のミサイル発射としては過去最多とみられる。

松野長官は、少なくとも3カ所から短時間で多数の弾数が発射されたことは前例がなく「断固として許容できない」と強調。関連する安保理決議に違反するものでもあり、日本として北朝鮮に厳重に抗議し、強く非難したと述べた。「いわゆる反撃能力も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後も防衛力の抜本的な強化に取り組んでいく」と語った。

また、電力需給に関する検討会合を5年ぶりに開催する考えを示した。経済産業省の審議会では今夏と今冬に非常に厳しい電力需給の見通しであることが示されており、政府全体としてしっかりと具体的な対策をとりまとめていきたいと述べた。

関連記事
何てことをしてくれるのかーー。北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとの報を受け、在日朝鮮人のパク・ヨンさん(仮名、40代)は肩を震わせた。おりしも日本と北朝鮮はサッカーで予選枠を競っていた。冷酷で傲慢な金正恩体制、日本での静かな営み。二国間のはざまで在日朝鮮人は複雑な思いを抱えていた。
外交関係者の話によると、北朝鮮は国連制裁に違反し、中国の10以上の都市で北朝鮮人従業員を雇用した50以上のレストランを経営しているという。これらレストランの収益の大半は、北朝鮮政権によって核・ミサイル開発資金に充てられていると見られている。
北朝鮮情勢を語る上で、中朝露の三角関係を考慮せずにはいられない。北朝鮮が領土的野心をあらわにし、イランも核開発を加速させるなか、世界情勢のきな臭さは一段と増している。
北朝鮮が立て続けにロケットを打ち上げる背景には、中露という「悪の枢軸」と米国との熾烈な駆け引きがある。大国間のパワーゲームを理解することで、北朝鮮の核・ミサイル問題の本質を見定めることができる。
岸田文雄首相は21日朝、北朝鮮が人工衛星を発射すると通告してきたことを受け、「弾道ミサイル技術を使用するなら一連の国連安保理決議違反」と非難した。