インターネット上に表示されたマイクロブログサイト「Twitter」のロゴを撮影したイラスト。(写真説明:Mary Turner/Getty Images)

中国当局者の米SNS利用を禁止 米共和党議員が法案提出

米下院の共和党議員らは14日、中国政府高官による米ソーシャルメディア(SNS)の利用を禁止するための法案「中国ソーシャルメディア互恵法(CSRA)」を議会に提出した。

法案は、中国政府が自国民に外国のSNSへの自由なアクセスや、米当局者に検閲・制限なしの中国のSNS利用を認めないかぎり、SNSの運営会社が中国共産党関係者にアカウントを与えることを禁止する、としている。

対象者は、中国の国務院、外交部、国防部、国家安全局、司法部、公安部、統一戦線工作部のメンバー、および新華社通信、人民日報などの官製メディアの幹部、その他の機関の高官などを含める予定。

法案提出者の1人、下院共和党研究委員会のマスト議員は声明で、「中国当局が自国のSNSでの自由なコミュニケーションを制限しながら、米国のSNSで宣伝していることを許してはならない」と述べた。

先月、ブリンケン米国務長官が対中政策について演説を行った後、中国当局は北京の米国大使館が中国のSNS「ウィーチャット」に掲載した演説全文の中国語訳をブロックし、SNSでの配信を制限した。

中国ではツイッターやフェイスブックなどの外国SNSの利用を禁止している。当局のネット検閲ソフト「ファイアウォール」を迂回して、アクセスした場合、処罰の対象となる。

一方、2019年以降、中国の官製メディアや外交関係者が相次ぎツイッターやフェイスブックのアカウントを開設し、海外でプロパガンダを繰り広げている。時には偽情報を発信し、「戦狼外交」を展開しているといわれる。

法案提出者の1人、下院共和党研究委員会委員長のバンクス議員は、中国当局が米SNS上で大量の偽アカウントを開設し、中共ウイルス(新型コロナ)の発生源や新疆の人権問題について偽情報を垂れ流しているのに対して、米国のSNS運営会社は、有効な対策を講じていないと指摘し、法案の必要性を強調した。

ツイッターやフェイスブックなどは、すでに中国官製メディアや中国当局者のアカウントにフラグを付け、偽アカウントの取り締まりを強化する動きを見せている。

 

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