黒雲に覆われる北京の天安門広場. (Photo by Feng Li/Getty Images)

中国報道のアジア系女性記者、ネット攻撃の標的に=豪報告書

豪政府系シンクタンクの報告書はこのほど、中国報道を担当する欧米メディアの記者やアナリスト、人権活動家、特にアジア系の女性ジャーナリストが、ツイッター上で「持続的かつ組織的で大規模な攻撃」を受けているとする調査結果を明らかにした。

豪戦略政策研究所(ASPI)3日付の同報告書は、中国の政治・人権問題を報道するアジア系の女性記者が、中国当局によるネット攻撃の新たな標的にされ、暴言、暴力、性的暴行などの脅迫に遭っていると警告した。

同報告書によると、ニューヨーカー誌、エコノミスト誌、ニューヨーク・タイムズ紙、ガーディアン紙などの主要メディアで活躍する女性ジャーナリストも被害を受けている。

攻撃は、主に英語と中国語で行われ、心理的プレッシャー、嫌がらせ、集団いじめ、脅迫など手口は様々だという。女性ジャーナリストらは、「祖国」を裏切り、母国を貶していると非難されている。実際は、彼女たちの多くは海外生まれで、中国国籍を取得したことがない。なかには、「裏切り者はろくな死に方をしない」と脅迫まがいの書き込みもあるという。

報告書は、ツイッターで親中プロパガンダを繰り返す数百もの偽アカウントが攻撃の実行者だとみている。個人のプライバシーに関わる内容もあることから、「対象となる個人が監視されていることを意味する」と懸念を示した。

報告書によると、攻撃の発信源が中国にあることを指し示す証拠が多く上がっている。

ASPIは、複数のソーシャルメディアを介して外国の干渉を何年にもわたって追跡してきたとしている。SNS上で広まる中国当局のプロパガンダはほんの1、2年前よりもはるかに進化していると指摘した。

ASPIは、ソーシャルメディア各社や各国政府が適切な対策を講じていないことが攻撃者を増長させ、偽アカウントを大量に増やし続けていると危惧した。

報告書は、ソーシャルメディア各社は政府と連携して、「モグラたたき」的な防御策をやめ、より先制的で積極的な手段をとる必要があると提言した。

(叶子静)

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