いくら寝てもズーンと残る疲労感 慢性疲労症候群に対抗する5つの方法(3)

2.睡眠を改善することは、疲労感を半減させる

疲労を軽減するには、質の良い睡眠が必要です。慢性疲労の臨床治療は、まず睡眠を改善することから始まります。張世衡氏は「疲労には、睡眠不足が伴っている」と主張しています。

寝つきが悪く、いびきをかきやすい人は、睡眠時無呼吸症候群の検査が必要です。この状態では酸素が不足し、睡眠の質が低下するため、日中に疲れや眠気を感じるようになります。

張世衡氏は、慢性疲労の人は、午後10時半から11時の間に就寝し、規則正しい就寝時間を確保するのが良いと言います。また睡眠環境に関しては、風通しを良くし、部屋を暗くして、照明はつけないと良いそうです。さらに、光を浴びながら寝ると2型糖尿病になりやすいと語っています。

また、就寝前にお風呂に入ることで、寝つきをよくすることができます。2019年にテキサス大学オースティン校が発表した研究によると、就寝の1~2時間前に熱いお風呂に入り、湯温を40℃〜42.8℃に保つことで、深い眠りに入り、平均睡眠速度が10分増加したそうです。 [1]

張世衡氏は、就寝前にアルコール飲料を摂取しないことで、大半は夜に眠くなってくると強調しています。

3.適度に運動する

また、疲労は昼夜のリズムの機能不全と関連しており、通常、体は日中に活力を得て、夜に疲れを感じます。運動は、体を正常なリズムにし、生理時計を正しく調整するのに役立ちます。

慢性疲労症候群の人がいきなり激しい運動をすると疲労が悪化することがありますが、ウォーキングなどの楽な運動から始めて、時間をかけて徐々に運動量を調節していくことも可能です。

また、患者には、疲労症状を軽減するだけでなく、心を落ち着かせる気功などのスローエクササイズもお薦めです。医学雑誌『Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine』(根拠に基づく補完代替医療)に掲載された研究によると、気功を学んた慢性疲労の患者は、全体的な疲労、身体的疲労、うつ状態に著しい改善がみられたといいます。

ウォーキングは、慢性疲労症候群の人に適した比較的楽な運動です(Shutterstock)

 

4.屋内照明の調整による疲労の軽減

日中の疲労は、日照時間が短く、夜が暗いためにメラトニンの分泌が多くなる冬に起こりやすいと言われています。メラトニンは睡眠を助ける働きがありますが、摂り過ぎると疲れがとれず、うつ状態になることもあります。

そのため、冬は日中から室内の照明や明るさを増やすとよいでしょう。外が暗くなっても室内は暗くならないように、夕方は早めに電気をつけましょう。

5.全身の健康増進のために鍼灸・マッサージを試してみる

また、6年連続で全米第1位の病院であるメイヨークリニックは、慢性疲労症候群の治療法のまとめとして、鍼灸・マッサージ療法を挙げています。 

鍼灸は、中国医学の治療技術の一つで、気・血・経絡の循環を促進するものです。メイヨークリニックによると、ツボ(神経、筋肉、結合組織のある場所)を刺激することによって、エネルギーや活力の流れのバランスを整え、全身の健康能力を高め、ストレスを調整することができるそうです。

プロのマッサージ師が行うマッサージは、ストレス解消に役立つと共に痛みや筋肉の緊張を和らげ、リラックス効果、免疫機能を高めるなどが期待できるそうです。

(完)

(翻訳・香原 咲)

 

 

蘇冠米