「カルシウムだけではない」骨を強くするミネラル補給

骨の健康を知る鍵は、「骨に含まれるミネラル」について正しい知識を得ることです。

骨を形成する主なミネラルはカルシウムですが、骨の健康はカルシウムだけでは支えられません。例えば、黒板に字を書くチョークの主成分は炭酸カルシウムですが、これを床面に落とすと簡単に砕け散ってしまいます。チョークと同様に、カルシウムばかりの骨は非常にもろいものなのです。

確かにカルシウム補給は骨を強く保つための最も一般的な方法ですが、米国人を例にすると、骨組織に強度と弾力性を与えるミネラルであるマグネシウムが、かなり普遍的に不足しています。

マグネシウムが足りないと、どうなるでしょうか。骨がカルシウムを吸収しにくくなるため、血中のカルシウムは腎臓から排泄されるか、血液や軟部組織にカルシウムが蓄積してしまいます。

カルシウムだけの過剰摂取は骨棘、腎結石、便秘、関節痛などの症状を引き起こします。さらには、心臓発作や脳卒中のリスクを高めるとともに、かえって骨を弱くすることもあるのです。

しかし、米国の場合、多くの食品(特に女性向けの食品)にカルシウムが多く添加されています。

一方、食物中のマグネシウムは過去最低レベルにあると言われており、カルシウムの過剰摂取を相殺するために、マグネシウムのサプリメントを処方する医師やその他の医療専門家が増えています。

いずれにしても、骨を強く、安定した状態に保つには、過不足のない適切なミネラルバランスが必要です。逆に言えば、このバランスが崩れたときに、骨の健康は損なわれるのです。

栄養不良によるミネラルの欠乏、または過剰なサプリ補給による単一ミネラルの過剰摂取などは、このバランスを崩す最も直接的な原因ですが、年齢にともなうホルモンの変化によって、骨の効率的なミネラル吸収力が変化する場合もあります。

とくに50歳以上の女性にとっては、骨粗しょう症という病気が懸念されるかもしれません。
骨粗しょう症が進行すると骨の多孔性が進んでもろくなり、骨折や骨折のリスクが高まります。この問題を解決する現代の方法はビスホスホネートと呼ばれる薬剤です。

確かに、ビスホスホネート系の薬剤は、骨のミネラル処理能力を高めるのに効果的とされています。この治療法は、ミネラル密度を改善することで骨粗しょう症の進行を遅らせる効果がありますが、副作用を避けて健康な体を維持するという意味では、議論すべき余地があります。

この薬剤に関係する一般的な副作用としては、血尿、排尿時の痛み、食道への刺激感、腰痛、わき腹の痛み、流行性感冒のような症状、精神面の不安感などが報告されています。

2012年に、米国食品医薬品局(FDA)は、ビスホスホネート系薬剤の長期服用に関するレビューを薬学の専門誌に掲載しました。

それによると、大腿骨骨折、食道がん、顎骨(がくこつ)壊死などの「非常に稀有だが重篤な副作用」を引き起こす可能性があることが指摘されています。これらの薬を服用している期間が長いほど、そのリスクが高くなります。

骨粗しょう症が重篤な場合は、症状の悪化を防ぐために、医師の判断で薬剤やサプリメントによるカルシウム補給が必要になることがあります。ただし、そこまでに至らないほとんどの人は、やはり適切な食事を中心として、カルシウムおよび必要なミネラルを摂取するべきです。

栄養豊富な牛骨スープやキノコスープ、緑色野菜、豆類、根菜類は、私たちの骨の健康に必要なミネラルの最も安全で効果的な源です。

なおその際には、骨の健康を損なうことが確認されているナトリウム、砂糖、カフェイン、砂糖入りの炭酸飲料、酒類の摂取を避ける必要があります。

そのほか、中国の中南部一帯、日本では東日本以西に自生しているイラクサ(蕁麻)を乾燥させてハーブティにしたものが、カルシウムやマグネシウムの良い供給源になります。

イラクサの葉は、関節炎や虚弱体質を改善する生薬として数千年の歴史をもちます。その茎には細かいトゲがあり、うっかり触ると皮膚を傷つけますので注意してください。

(翻訳編集・鳥飼聡)