オランダ・アムステルダムにあるチーズ販売店。2017年4月撮影 (Photo credit should read AURORE BELOT/AFP via Getty Images)

「もう終わりだ」オランダの酪農家に廃業の危機 温室効果ガス削減で活路絶たれる

長い歴史と伝統を持ち、オランダの重要な農業生産部門である酪農。現在、政府の温室効果ガス削減政策により、この国の酪農家の多くは廃業の危機を迎えている。国連に由来する政策は農業の現場にどのような影響をもたらしているのか。そして、現地の人々は政府の思惑についてどのように考えているのか。窮地に追い込まれた酪農産業の実態を記者が記録した。

人口1750万人を有するオランダは、米国に次ぐ世界第2位の農産物輸出国だ。特に「生乳」生産量が多く、2018年の出荷量は1388万トンに上った。同国は日本向けのチーズやバターのほか、世界各国に乳製品を多く供給するビジネスモデルを確立してきた。独立行政法人農畜産業振興機構の統計データによると、2016年時点では酪農従事者は3万6100人、乳業従事者は1万3000人となっている。

しかし、ここ数年、政府が打ち出した窒素排出量削減の環境対策により、酪農家は苦境に立たされている。政府は、2030年までに窒素酸化物やアンモニアの排出量を2019年比で50%削減するよう要求。さらに6月には地域ごとに窒素排出量の削減量を定め、一部の地域には最大95%の削減を義務付けた。窒素は温室効果ガスの一種で、その多くは家畜の排泄物から放出されるという。

▶ 続きを読む
関連記事
欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は16日、2035年からのガソリン車・ディーゼル車など内燃機関を搭載した新車の販売を原則禁止する計画を事実上緩和する改正案を公表した。
ロシアの中国人向けビザ免除開始後、中産階級旅行者がモスクワで次々トラブル。SIM通信24時間制限、白タク高額、ホテル・航空券爆値上げ、決済不能、地図誤作動。インフラ老朽化でコストパフォーマンス崩壊。SNSで苦情殺到
米ニューヨークを拠点とする神韻芸術団は、2026年の世界巡回ツアーの開幕を間近に控えている。「仁義礼智信」などの価値観を重んじた共産主義以前の中国の古典文化を再現する神韻に、各国の著名人や政治家、芸術家などから絶賛の声が相次ぎ上がっている。
国際社会では、モスクワと北京を同じ文脈で語ることに慣れている。「独裁の枢軸」といった表現でまとめられるが、必ずしも正確とは言えない。このことを理解するうえで、カザフスタンほど適した国はないだろう。正確な位置を即座に示せる人は多くないかもしれないが、同国はユーラシア大陸のほぼ中心に位置し、ロシアとは世界最長となる約7600キロの陸上国境で接している。
英国が国家支援型サイバー攻撃に関与した中国企業2社を制裁。80超の政府機関を標的にした攻撃を抑止する狙い。日本はこの公開非難を支持した