5月、ホワイトハウスのローズガーデンで記者会見する米通商代表部キャサリン・タイ氏 (Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

米国と台湾、新たな貿易・投資イニシアチブを今秋にも交渉開始 11分野が柱

米国と台湾は17日、新たな貿易・投資イニシアチブのもと、今秋にも交渉を開始すると発表した。米通商代表部(USTR)のビアンキ次席代表は「高い水準の合意と経済的に有意義な成果を達成するための野心的なスケジュールを追求する」と述べた。

USTRによれば、交渉は貿易円滑化や腐敗防止、サプライチェーン(供給網)における強制労働排除、農業貿易の深化、貿易の差別的障壁の撤廃のほか、国有企業の歪曲的慣行非市場政策の対処など11分野を柱とする。

米台は6月に「21世紀の貿易に関する米台イニシアチブ」を発表している。

台湾外交部も今秋の貿易交渉開始に対して高い歓迎と支持を表明した。欧江安報道官は18日の定例会議で「イニシアチブは、台湾と米国の二国間の経済と貿易の関係に新たなページを開き、インド太平洋地域の経済貿易協力の新たなモデルになることが期待されている」と述べた。

米国と台湾は長年の貿易・投資関係を築いており、台湾の貿易輸出額の15%は米国。台湾には台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ、スマートフォンから軍需品に至るまであらゆる分野で使われる半導体大手企業がある。

いっぽう、今回のUSTRの声明に台湾が強く望んでいる、バイデン政権の新たな経済構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」や多国間自由貿易協定「環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)」についての言及はなかった。CPTPPへは、台湾のほか中国も加入の申請をしている。

バイデン政権は5月、日本や韓国、インド、東南アジア諸国などを創設メンバーに迎え、IPEFを設立した。「21世紀の貿易イニシアチブ」は直後の6月に発表され、別枠組みを設けて台湾に関与していく姿勢を示した。

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