2020年2月9日、台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入した中国軍機を監視するために、緊急発進する台湾国軍のF-16戦闘機(左)(台湾国防部)

「台湾有事の戦略不十分」 ルビオ氏ら共和党議員が強い危機感示す

台湾有事の可能性が取り沙汰されるなか、中国共産党の侵略から台湾を防衛する有効な戦略を現政権は策定・実行できていないと、米国の共和党議員らは指摘する。ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発した中国は、2週間以上にわたり大規模な軍事演習を実施するなど、台湾への威圧を高めている。台湾有事の影響は広範囲に及ぶとして、米議員らは台湾有事に関する戦略を早期に策定するよう訴えた。

ブリンケン国務長官は5月、バイデン政権の中国政策について演説した。中国を国際秩序に挑戦する「最も深刻な長期的試練」と位置づける一方、中国との関係を切り離すことはないと述べた。米中の協力分野としては気候変動対策、大量破壊兵器の不拡散、食糧安全保障、中共ウイルス(新型コロナ)対策などを挙げた。

その後、中国共産党はこれらの協力分野を全て打ち切った。「(バイデン)政権は中国共産党の脅威を認識していない」とマイケル・マッコール下院議員は批判する。

「台湾はインド太平洋の安定と米国の安全保障にとって重要だ。中国共産党の拡張主義的な侵略を黙認するのではなく、米国の利益を守る必要がある」と強調した。マッコール氏はかねてより、インド太平洋地域で支配力を強める中国共産党の攻撃について、台湾防衛に向けた現政権の軍事計画は不十分だと指摘してきた。

中国当局は今月上旬、ペロシ氏の台湾訪問への対抗措置として、米国との軍事分野における対話や国際的な気候変動イニシアチブから一方的に離脱している。

25年ぶりとなる現職米下院議長の訪台について、バイデン政権は難色を示していた。これについてマッコール氏は、中国との関係悪化を懸念するといった政権の「弱さ」を露わにしていると語った。

元米海軍副次官のセス・クロプシー氏も、米国の戦略に懸念を表明する一人だ。国防総省の台湾有事に対する戦略について新唐人テレビの取材に答えた際、「米国が中国による台湾侵攻によって中国と紛争状態に陥った場合、どういった対応をするのか」「海軍にはその計画がない。あったとしても、秘密だ」と述べた。

マルコ・ルビオ上院議員は、有効な戦略が策定されなければ、米国にも悪影響を及ぼすと指摘。「中国の意図は明確だ。いずれ台湾を侵略するだろう。だからこそ侵略を阻止することが米国の優先事項でなければならない」と強調した。

「楽観的な大見得を切ることは、真の戦略の代用にはならない」と述べ、インド太平洋地域を中国共産党か守るために同氏が5月に発表した「力を通じた台湾の平和法案(Taiwan Peace Through Strength Act)」の可決を議会に呼びかけている。

同法案には、台湾への対外軍事資金(FMF)を年間20億ドル承認するよう米国国防総省に求めるほか、台湾の軍事力強化に向けた合同軍事訓練を増やすといった内容が盛り込まれている。

(翻訳編集・山中蓮夏)

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