写真は英国屈指の名門校、インペリアル・カレッジ・ロンドン。イメージ画像。(John Li/Getty Images)

英国、中国国営企業支援の研究所を相次ぎ閉鎖 安保上の懸念で

中国国営鉄鋼大手・首鋼集団と英国屈指の名門校、インペリアル・カレッジ・ロンドンが共同運営する研究所は、来年末までに閉鎖することがわかった。英紙タイムズ(The Times)4日付が報じた。

英国は国家安全保障上の懸念から、中国企業が支援する研究所を相次ぎ閉鎖した。

同研究所は自動車の衝突回避システムや軽量鋼の研究を行っている。

首鋼集団はこれまでに120万ポンド(約2億円)の資金をインペリアル・カレッジ・ロンドンに提供し、金属の研究に使われた。中国軍に鋼鉄を供給する首鋼集団の資金援助は懸念を呼んだ。

同紙は関係者の話を引用して、同研究所は来年末までに段階的に閉鎖する予定だと報じた。

この研究所で行われている研究は軍民両用技術である可能性が高いとされている。研究所に所属する研究員がこのほど発表した「高強度マグネシウム鋼の新しい製造方法」に関する論文で言及した技術が、首鋼集団傘下企業の軍用鋼材の製品に使用されていることがわかった。傘下企業の公式ホームページで紹介していた。

英シンクタンク、キウィタス(Civitas)で防衛・安全保障を担当するロバート・クラーク (Robert Clark) 氏はタイムズ紙に対し、「歴代の英政府は中国最大手企業からの投資を望んできた。しかし、これらの中国企業は中国軍に協力をしている。英国はこのアプローチを見直す必要がある」と指摘した。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの広報担当者は、同カレッジではいかなる機密扱いの研究も行っていないと主張。同カレッジと英国の国際貿易省(DIT)が首鋼集団へ研究成果や技術の輸出を承認したかどうかについてはコメントを避けた。首鋼側もコメントを拒否している。

英紙ガーディアン(The Guardian)は9月、インペリアル・カレッジ・ロンドンが今年末までに、中国国営企業「中国航天科技集団(CASC)」などから資金を受けた研究センターの数カ所を閉鎖する予定だと報じた。

近年、国家戦略として軍民融合(民間資源の軍事徴用)を推進する中国による海外投資に、各国政府は警戒感を抱いている。英情報局保安部(MI5)のマッカラム長官と米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は7月、初めて合同で演説し、中国の長期的な脅威が高まっていると警鐘を鳴らした。

(翻訳編集・李凌)

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