10月21日、「抜本的に」と岸田文雄首相が世界に約束した日本の防衛力増強は、焦点となる財源議論が本格化する。写真は日本の国旗。横須賀市の海上自衛隊基地で9月代表撮影(2022年 ロイター9

アングル:防衛力の抜本強化、増税議論本格化へ 自民から異論で曲折も

[東京 21日 ロイター] – 「抜本的に」と岸田文雄首相が世界に約束した日本の防衛力増強は、焦点となる財源議論が本格化する。政府の有識者会議では安定財源の確保が必要との意見が多数で、増税が有力な選択肢となりつつある。一方、与党内には国債発行を求める声のほか、防衛費の増額規模は財源が確保できる範囲で十分との見方もある。防衛3文書を改訂する年末まで、財源を巡る議論は紆余曲折を経る可能性がある。

岸田文雄首相は20日に開いた第2回有識者会議で、鈴木俊一財務相に対し11月にも開く次回会合で財源の検討状況について報告するよう求めた。政府側の説明によると、会議では「法人税の引き上げが企業努力に水を差さないようにして欲しい」と指摘する声があったものの、「防衛は国民が幅広く受益するので広く負担を求める必要がある」、「むやみに国債を出すだけでなく、広く国民に負担をお願いする必要がある」など安定財源を求める声が多数だったという。

自民党税制調査会の宮沢洋一会長は17日の報道各社とのインタビューで「所得税、法人税を白紙で検討していく」と発言しており、政府・与党の中枢では防衛費増額と増税議論が並行して進む見通し。賃上げ企業を優遇する形の実質的法人税引き上げは実現可能との声が与党・財務省幹部からも出ている。もっとも、増税は実現までに時間がかかることから、「当初はつなぎ国債(交付国債)で財源を手当てすればよい」(内閣府幹部)との意見が多く聞かれる。

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