2007年8月13日、ドイツ・ハンブルグの主要コンテナ港で積み込まれる中国船社のコンテナ船(Photo by Sean Gallup/Getty Images)

独デュイスブルク、ファーウェイとの協力関係を解消

ドイツのデュイスブルク市は中国の通信機器最大手、華為(ファーウェイ)とのスマートシティ提携を解消した。市当局は中国とロシアの関係が一因としている。香港の英字新聞・サウスチャイナモーニングポストが9日付で報じた。

報道によると、デュイスブルク市とファーウェイの協力協定は今年10月に切れており、提携更新は未定とのこと。現在、ドイツ政府と欧州連合はロシアと中国の関係を考慮して、ファーウェイとの提携を更新できるか評価中だという。その一つの要因として、中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻前の首脳会談で発表した「限界のない」協力を宣言した共同声明を挙げた。

2018年に締結された覚書では、ファーウェイがデュイスブルクを「伝統的な工業都市からサービス指向のスマートシティに」変革し、高度な5G技術を使って行政、港湾物流、教育、交通インフラを近代化させるとした。

しかし、中国共産党との繋がりが深いファーウェイの情報収集にはセキュリティリスクが指摘されてきた。中国のデータ法制では、国営民間問わず、中国企業は当局に対する情報提供義務を負う。こうした背景から、前トランプ政権は政府機関の調達からファーウェイの通信機器を禁止した。後にファーウェイは、多数の米国テクノロジー企業から企業秘密を盗むことに共謀したとして起訴され、米連邦通信委員会(FCC)から国家安全保障上の脅威と指定されている。

中国傾斜が目立ったメルケル前政権と異なり、ショルツ政権は政治的に中国と距離を取る姿勢を示してきた。しかし、経済関係を深く構築してきたドイツは、中国依存から脱却できず「経済的な利益を優先させている」との批判も出ている。

ドイツは10月、中国の国有海運大手によるハンブルク港のターミナルへの出資を認めた。いっぽう11月9日には、一時容認した中国系企業によるドイツの半導体関連企業の買収を、不許可とする閣議決定を行った。秩序と安全保障を脅かす可能性があると判断したという。

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