11月16日、 防衛力の増強を議論する政府の「防衛力強化に関する有識者会議(座長・佐々江賢一郎元外務次官)」は来週まとめる提言で、財源として法人税を含む幅広い税目の増税を提言する。横須賀市の海上自衛隊基地で9月代表撮影(2022年 ロイター9

防衛有識者会議、財源には法人税など 来週提言へ=関係筋

[東京 16日 ロイター] – 防衛力の増強を議論する政府の「防衛力強化に関する有識者会議(座長・佐々江賢一郎元外務次官)」は来週まとめる提言で、財源として法人税を含む幅広い税目の増税を提言する。

政府関係者が16日明らかにした。与党幹部によると21日に4回目の有識者会議が開催され、提言を岸田文雄首相に渡す予定。

提言を踏まえ与党税調が増税の実施時期を含め具体案を議論する。世界的な景気後退懸念が広がるなか政府与党内には増税に対して慎重論も多く、政府が防衛増強計画の裏付けとなる予算案を取りまとめる年末まで議論が長引くことも予想される。

政府は外交・安全保障の長期指針「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を12月中旬にも改定する計画。有識者会議は、防衛費の増強には安定財源が不可欠と主張するメンバーが多く、提言では、防衛を受益する国民全般が負担すべきとして、法人税を含め幅広い税目の増税の検討の必要性が明記される見通し。

複数の政府・与党関係者によると、提言を受けて与党税調では法人税や所得税の増税の可能性が検討される方向。一方、有識者会議の提言では、与党内の議論の焦点の一つである今後の防衛費の増額規模は明記されないという。

15日公表された第3回有識者会議の議事要旨によると、民間委員の間では「防衛力強化の受益が広く国民全体に及ぶことを踏まえ、それに要する費用は、国民全体で広く負担する形を目指すべき」、「財源については、幅広く国民に負担してもらうため、個人所得税の引き上げも視野に入れる必要」などの意見が出た。

今後の政府・与党内の議論は、具体的な防衛費の金額と増税の規模、実施時期などに移る。「法人税、所得税ともに増税の実施は2024年度以降で、その間は国債発行が必要」(政府関係者)との意見も出ている。

防衛費の増強をめぐり、岸田首相は有識者会議で、防衛省の予算と空港や港湾などインフラ整備や研究開発など他省庁の予算を合算した「総合的な防衛体制の強化に資する経費」の創設を提唱している。

防衛省予算は現在、対国内総生産(GDP)で1%程度だが、21年度予算では、海上保安庁予算などを加えた北大西洋条約機構(NATO)基準の防衛関係費は、GDP比で1・24%となっている。

自民党は選挙公約で防衛費の対GDP比を5年以内に2%以上に上げると掲げているが、自民党保守派には、他省庁予算の組み入れは水増しとの批判もある。

関連記事
昨今の日本の環境教育は、もはや教育の名に値しない「環境運動」と化している。エネルギー政策の専門家である杉山大志氏は、「今の環境教育は、ただCO2を減らせと子供たちに叫ぶだけの洗脳だ」と手厳しい評価を下した。
5月上旬に中国・福建省の共産党トップが沖縄訪問する。自由主義対共産主義の「新冷戦」が進むなか、沖縄をめぐる熾烈な争いが、水面下で進んでいる。
4月24日、米宇宙コマンド司令官スティーブン・ホワイティング大将が日本を訪れ、中国の宇宙軍事力の異常な増強に対して警告を発した。ホワイティング司令官は木原防衛相、統合幕僚監部議長、航空自衛隊長や航空宇宙事業本部長等の要人と対話し、宇宙領域における日米同盟のさらなる強化に向けた協力を確認した。
鬼木誠防衛副大臣は29日、フィリピンを訪問し、同国のテオドロ国防相と会談した。日本がフィリピンに供与する移動式警戒管制レーダー2基目の引き渡し式典にも出席した。東アジア地域における中国共産党の拡張に対して連携して抑止を図る。
内閣府への提出資料に中国国営企業のロゴが入っていた問題は、国会とネット世論をどよめかせた。「中国共産党の浸透だ」とする論調に対し、有識者はむしろ「『使える愚か者(Useful ideot)』が日本の政策決定に関わっていることこそ問題だ」と指摘する。