カナダ下院は14日、違法な臓器取引に対処する臓器売買対策法案(S-223)を全会一致で可決した(Jafaar Ashtiy/AFP/GettyImages)

カナダ、臓器売買対策法案を可決 中共による臓器収奪に対処

カナダ下院は14日、違法な臓器取引に対処する臓器売買対策法案(S-223)を全会一致で可決した。すでに上院を通過している同法案は総督の裁可を得て成立する。

中国共産党による臓器収奪を念頭に作成されたもので、保守党のガーネット・ジェネス議員は「臓器のために人が殺されるといった慣行を止めるための重要な一歩」と強調した。

臓器売買対策法案は、カナダ国民が外国に渡航し、ドナー(臓器提供者)の同意が得られないまま摘出された臓器で移植手術を受けることを刑事犯罪として処罰するもの。同時に移民・難民保護法を改正し、永住権保持者や外国人が臓器売買に関連する活動に従事した場合、カナダへの入国を禁じる。

今回の法案は、刑法の域外適用という点で特別なものとなる。法案を提出したジェネス氏は臓器取引をめぐる「越境犯罪を起訴する構えがあると示すものだ」と述べた。

法案の共同推進者サミール・ズベリ議員は5日の下院で、「深刻な人権問題に対処するのに効果を持つ」重要な法律であり、「国としてこの犯罪を受け入れないというはっきりとした強い警告を送る」ものだと述べた。

人権弁護士デービッド・マタス氏はエポックタイムズの取材に対して「(法案成立によって)臓器狩りを止めれば、罪のない人々が臓器のために殺されることがなくなる。たくさんの犠牲者がいるのだから、実現すれば重要な結果となる」と述べた。

人権弁護士デビッド・マタス氏(右)とデービット・キルガー氏。2007年1月31日撮影 (The Epoch Times)

中国共産党による強制的な臓器摘出は、マタス氏とカナダ政府元閣僚の故デービッド・キルガー氏によって2006年、初めて公になった。無実の囚人らが犠牲となっているとの報告書の発表以降、英国やイスラエル、台湾などは渡航移植や臓器売買に対抗する法律を制定した。

両氏と調査ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏が2016年に発表した更新版の報告書では「中国の病院では年間6万から10万件の移植手術が行われており、臓器の主な供給源は法輪功学習者」と結論づけている。

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