韓国の尹錫悦大統領が言及した米韓の核の共同演習構想を巡り、バイデン大統領は、共同演習について韓国と協議していないと述べた。写真は群山の韓国空軍基地。韓国国防省提供(2023年 ロイター)

米韓が核作戦巡り共同協議、北朝鮮対応で両首脳指示 机上演習も

[ソウル/ワシントン 3日 ロイター] – 韓国と米国の当局者は3日、北朝鮮に対抗するため米国の核作戦の共同計画・実施で協議していると明らかにした。

韓国の尹錫悦大統領は朝鮮日報が2日公表したインタビューで、米国の核を使用した共同計画と演習を行う可能性について米側と議論していると述べていた。

青瓦台(韓国大統領府)の報道官は、「北朝鮮の核兵器に対応するため、両国は米国所有の核資産の運用に関する情報を共有し、それに応じた共同計画や共同実行の方法について協議している」と述べた。

この件で、同盟国はそのような活動を議論していないとするバイデン米大統領の発言について、核共同演習は核保有国間で実施するものであり、バイデン氏は米韓が「核戦争ゲームについて議論しているか」と質問されたので「ノーと言うしかなかった」と説明した。

米政権高官はロイターに、11月にカンボジアで会談した後バイデン、尹両大統領がそれぞれ北朝鮮の脅威に対処する方法を探るよう指示したと述べた。両国が情報共有の強化、共同有事計画、最終的には机上演習を視野に入れているとした。

ただ韓国は核保有国ではないため、定例の演習は「極めて難しい」と指摘。「これは、尹大統領が述べたように、情報共有の強化、共同計画、計画する不測事態の範囲の拡大、訓練、そして最終的には机上演習につなげるという構想も含め、さまざまな方法を通じて行われる予定だ」と述べた。

双方とも机上演習の時期を定めていないが「そう遠くない将来」に実施され、核の事態以外のシナリオも扱う見込み。「北朝鮮の能力、発言に基づく可能性の範囲を十分に考慮できるようにすることも想定している」と米政権高官は述べた。

米国家安全保障会議(NSC)の報道官は声明で、米は拡大抑止を提供することにコミットしており、同盟国は「北朝鮮による核使用を含むさまざまなシナリオへの効果的な協調対応」に取り組んでいると述べた。

韓国国防省報道官は、机上演習に関する質問に、協議をしていると答えたが詳細は明らかにしなかった。

北朝鮮が核・ミサイル能力を向上させる中、米韓は何年かぶりに拡大抑止に関する協議を再開した。

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