ロンドン中心部のバッキンガム宮殿の門に入る公用車 (Photo by Daniel LEAL / AFP) (Photo by DANIEL LEAL/AFP via Getty Images)

英、政府の公用車から中国製の追跡デバイス 

中国のスパイウェアに対する懸念の高まりを受けて、英情報当局が政府の公用車を調査した結果、中国製の追跡デバイスが発見されたことが明らかになった。英アイニュースが報じた。

記事によれば、追跡デバイスは中国のサプライヤーから輸入された部品の中に隠されており、位置情報を取得し中国の国有サプライヤーにデータを送信できるSIMカード1枚が発見された。公用車は閣僚や外交官の移動に使われていた。

セキュリティ関係者によると、自動車のエンジンをスムーズに動かすための電子制御ユニットは主に中国から調達されており、メーカーは商業上の契約から内部を確認することが許されていなかったという。

今回の調査は、中国やロシアの情報機関が英国の閣僚をターゲットにしているとの懸念が高まる中で実施された。英国では、中国情報機関の「組織的脅威」に対する緊急調査を求める声が政府関係者の間で高っており、深刻な国家安全保障上の懸念を引き起こしている。

ある情報筋は、デバイスについて中国の西側諸国への盗聴に対する広範なアプローチを示すものであり、政府関係者を特別に狙ったものではないと指摘した。しかし、こうしたデバイスは長期にわたって英政府に向けられた調査の能力を与えるとして危機感を示した。

英保守党のイアン・ダンカン・スミス元党首も中国が英国にもたらす脅威は計り知れないとした上で、英国の外交・安全保障政策指針「統合レビュー」を見直して、「中国を組織的脅威として言及する時だ」とツイートした。2021年3月に定められた同指針では中国について「体制的競争相手」にとどめ、スナク政権も脅威への格上げはしていない。

近年、英国では中国のデバイスを排除する動きが加速している。英政府は11月、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)などの中国製監視カメラの設置を機密性の高い場所では中止するよう、各政府部門に命じた。さらに、2027年末までに英国の第5世代移動通信システム(5G)から、中国の通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の製品を排除するとしている。

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