国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会の専門家パネルによる最新の報告書によると、北朝鮮が2022年にサイバー攻撃で盗んだ暗号資産(仮想通貨)の価値は過去最高を更新した。写真はビットコインのイメージ。2022年8月撮影(2023年 ロイター/Dado Ruvic)

北朝鮮の暗号資産窃盗、22年は過去最高=国連報告書

[国連 6日 ロイター] – 国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会の専門家パネルによる最新の報告書によると、北朝鮮が2022年にサイバー攻撃で盗んだ暗号資産(仮想通貨)の価値は過去最高を更新した。ロイターが6日に未公表の報告書を閲覧した。

3日に制裁委に提出された報告書によると、北朝鮮は「一段と高度なサイバー技術を駆使してサイバー金融関連のデジタルネットワークにアクセスしたほか、兵器開発などに潜在的価値がある情報を盗んだ」という。外国の航空・防衛企業のネットワークも標的になったとした。

韓国は22年に北朝鮮関連のハッカーが6億3000万ドル相当の暗号資産を盗んだと試算。あるサイバーセキュリティー企業はサイバー犯罪によって北朝鮮に10億ドル超に相当する暗号資産がもたらされたと推計した。

報告書は「ここ数カ月の暗号資産の米ドル建て価格の変動がこれらの推計値に影響を与えているとみられるが、どちらも22年が北朝鮮にとって暗号資産窃盗の記録的な年だったことを示している」とした。

大半のサイバー攻撃は、北朝鮮の情報機関、偵察総局の管理下にあるラザルスなどのグループが実施。

これらのグループはマルウエアを仕込み、個人情報を抜き取るフィッシングを含むさまざまな攻撃を実施。最初は交流サイト(SNS)「リンクトイン」で個人と接触し、信頼関係が確立されると対話アプリの「ワッツアップ」を通じて不正メッセージを送りつけたとした。

関連記事
韓国最大の太陽光発電メーカーであるハンファ・ソリューションズ傘下のQcellsは中国江蘇省啓東市にある工場を6月30日に永久閉鎖する。
北朝鮮のアニメスタジオが、制裁下にもかかわらず日本や米国の人気アニメーション制作に関与していることが、朝鮮半島の情報分析を行うシンクタンク「38ノース」が22日発表した報告で明らかになった。日本政府は先月、北朝鮮のIT技術者の関与について警告を発したばかり。北朝鮮が制裁を逃れ、日本市場に関与している実態が浮き彫りとなった。
米国政府が、北朝鮮が遺伝子操作を通じた生物学兵器を生産できる能力を保有しているという分析を発表した。
韓国を訪問している米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は16日、非武装地帯にある板門店を訪れ、ロシアと中国に北朝鮮の制裁逃れを擁護しないよう求めた。
最近、尹錫悅(ユン・ソクヨル)韓国大統領は国家安全保障の観点から韓国海洋警察に中国の漁船の強い対応を求めた。