いかに優秀な兵器を運用しても、情報戦に敗れれば部隊は壊滅的な打撃を受ける(大紀元)

【寄稿】暗号解読の威力【現代情報戦争の概略】

2 暗号解読の威力

冒頭で、第一次世界大戦に触れた。いうまでもなく第一次世界大戦は、飛行機、戦車、潜水艦、機関銃、塹壕、大量破壊兵器(毒ガス)など正規戦用の近代兵器の見本市のような戦争だった。

だが同時に、近代的な情報戦争の形態が出現したのもまた第一次世界大戦なのである。これについては拙著「エシュロンと情報戦争」(文春新書2002年)で詳述したが、この技術が第二次世界大戦でさらに発展して、今日に至っている。その近代的な情報戦争の技術の中心は通信傍受と暗号解読である。

第二次世界大戦では、前半においては日本とドイツが米英を圧倒していた。これが逆転したのが1942年のことである。6月に太平洋のミッドウェー島周辺で日本と米国の空母機動部隊が激突したが、日本はここで致命的な敗北を喫した。

同年11月にエジプトのエル・アラメインでドイツとイタリアの戦車部隊は米英の戦車部隊にやはり致命的敗北を喫した。第二次世界大戦はこれで一気に形勢が逆転した。

ミッドウェーにおいては、空母、エル・アラメインにおいては戦車が主役であったが、日本の空母やドイツの戦車は決して米英の空母や戦車に劣っていたわけではなかった。ではなぜ、日独は米英に敗れたのか?

それは、米英が日独の暗号を解読して、日独の作戦を把握していたからに他ならない。いかに兵器が優秀だろうが、作戦の裏をかかれれば、部隊は壊滅的な打撃を受けることを、この二つの戦争は立証したのである。

この暗号解読のために開発されたのがコンピュータである。そしてコンピュータ同士を連結して作られた通信システムがインターネットに他ならない。ならば、インターネットの中では、暗号解読が集中的に行われることになろう。これがサイバー戦争の原型の一つである。

(つづく)

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