カンボジアのティー・バン国防相と駐カンボジア中国大使は、2022年6月8日にプレア・シアヌーク州のリーム海軍基地で式典を開いた (Photo by PANN BONY/AFP via Getty Images)

カンボジアやミャンマーに中国の監視施設 衛星写真などで判明

最新の衛星画像分析や報道によると、中国はミャンマーやカンボジアで中国軍の軍事利用が懸念される施設の建設を進めていることが明らかになった。

英シンクタンク・チャタムハウスは3月31日に発表した報告書で、中国はミャンマーのグレートココ島でスパイ基地を建設していると述べた。インド軍の前哨基地から程なく近いことから、中国の地域における地政学的な狙いを指摘している。

報告によれば、ミャンマーは1990年代初頭からココ諸島に中国の信号情報施設の運営を許可している。日本を含む西側諸国とは異なり、中国共産党政権はクーデターにより始まったミャンマーの軍事政権と良好な関係を築いている。

チャタムハウスは米宇宙技術企業マクサー・テクノロジーズが今年1月に撮影したベンガル湾のココ諸島の衛星画像を解析した。空港滑走路が2300メートルに延長され、2つの格納庫が新設されたとして「建設活動が活発化している」と述べた。このほか空港北にある新しい建造物、レーダー基地、大きな桟橋の新設が確認できるという。

グレートココ島は、インドの前哨基地のあるアンダマン・ニコバル諸島から北に約55キロメートルの位置にある。さらにココ諸島は、世界貿易の約40%が通過するマラッカ海峡から1200キロメートル離れたところに位置する。中国は長らくこの重要な貿易航路へのアクセスを確保することに関心を向けてきた。

2018年、中国とミャンマーは広域経済圏構想「一帯一路」の一部である「中国ミャンマー経済回廊」設立の覚書に署名した。これにより中国がミャンマーの道路、鉄道、港湾など主なインフラプロジェクトの開発支援を行う。軍事政権以降、ミャンマーの中国に対する経済的依存度が高まり、中国の地政学的影響力を高める恐れがある。

同じ頃、カンボジア政府はリアム海軍基地の老朽化したレーダー施設を拡大する計画を明らかにした。

日経アジアによればカンボジア国務省は3月末、リアム基地近くの公園の土地を「防空司令部および総司令部」のために利用すると述べた。海軍レーダーシステム機能を拡大させるという。

米政府は長年に渡り、リアム基地は「中国の海外基地」の役割を果たしていると指摘している。カンボジア国防省報道官は、これらの施設に中国の資金提供、支援、駐留はないと否定している。

読売新聞によれば、中国資本によるリアム基地の拡張工事は昨年6月に始まった。工事が完了すれば、基地面積全体の約3分の1相当が中国海軍の利用エリアになるとの米メディアの視点を伝えている。

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