中国の福建省福州市の公安部が設置したニューヨーク・マンハッタンの中国海外警察署。現在は閉鎖されている。2023年2月25日撮影 (Samira Bouaou/The Epoch Times)

米、中国「海外警察署」運営疑いで2人逮捕 25年の懲役刑も

米司法省は17日、越境弾圧に従事しているとされる中国海外警察署を運営していた疑いで中国系米国人の男2人を逮捕したと発表した。日本など各国に設置されている海外警察署だが、刑事事件として摘発されたのは今回が初めてとされる。

逮捕された盧建旺容疑者と陳金平容疑者は中国共産党の代理として活動した罪のほか、司法妨害の罪に問われている。2つの罪で有罪となれば、最長25年の懲役刑が言い渡される可能性がある。

起訴状によると、2人は中国の警察を管轄する福州市公安部の代理としてニューヨーク州マンハッタンのチャイナタウンに海外警察署を開設・運営していた。スペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」によれば、中国海外警察署は、異を唱える人権活動家などの帰国を迫る拠点になっており、「中央統一戦線工作部」の活動とも関連しているとされる。

海外警察署は30カ国に存在するとみられており、日本には東京、福岡、名古屋などにあるとされる。

また、2人はマンハッタンの海外警察署が連邦捜査局(FBI)の捜査対象となった際、公安部との通信記録を消去するなど捜査を妨害した疑いがある。同海外警察署は昨年秋の捜索後、閉鎖された。

オルセン司法次官補は声明で、中国共産党による米国内での反体制派弾圧は「国家の振る舞いとして許容範囲を大きく逸脱している」と非難。「権威主義的な抑圧の脅威から米国内に住むすべての人々の自由を守る」と述べた。

米国連邦地検のブレオン・ピース氏も捜査を通じて「中国共産党が米国の主権を著しく侵害したことが明らかになった」と指摘した。

中国共産党との「長年の信頼関係」

訴状によると、盧建旺容疑者は2022年初頭に海外警察署を開設する以前から中国共産党の代理として越境弾圧に従事してきた。

2015年には中国領事館からの指示で中国伝統気功「法輪功」への対抗デモを組織したほか、2018年には暴力や脅しなどを通じて中国からの亡命者とみられる人物に帰国を迫ったという。

そのほか、盧建旺容疑者は海外警察署を通じて別の工作員を雇い、中国共産党の「権威主義的な世界観を守る」ために「米国在住の中国系米国人を追跡」していたと連邦地検のピース氏は述べた。

司法省は同日、別件でニューヨーク市および米国内の他の場所に住む中国人に対して組織的な嫌がらせキャンペーンを行ったとして、40人以上の中国当局者と警察官の起訴を発表した。起訴された被告は中国かインドネシアにいる。

関連記事
米国の国家情報長官(DNI)オフィスは現地時間11日、中国共産党関係者は海外に逃れた反体制派への嫌がらせとして、複数の国で爆破予告を行なったと指摘、中国は今や「国境を越えた弾圧」の最大の加害者になっていると記した。
韓国警察はこのほど、中国共産党(中共)の海外秘密警察署と指摘されている、ソウル市内の中華料理店のオーナーを務める王海軍氏の自宅を家宅捜索した。総選挙が1カ月後に迫るなか、中共の影響力を排除する狙いだ。
新型コロナ対策の持続化給付金を騙し取ったとして、警視庁公安部は21日、中国秘密警察署の関係先に勤務していたとされる中国人の女2人を詐欺容疑で東京地検に書類送致した。米国でも昨年4月に中国秘密警察署の関係者2人を逮捕するなど、中共スパイの摘発が世界的に行われている。
米検察当局は26日、国税庁職員に賄賂(わいろ)を渡し法輪功弾圧に加担させようとした疑いで、中国系アメリカ人の2人を逮捕、起訴した。中国共産党の海外における違法活動が改めて浮き彫りとなった。
米共和党下院議員らは25日、中国共産党による越境弾圧やスパイ活動に対抗するため、ニューヨークの中国総領事館と香 […]