11月27日、WHO関係者は、中共当局から提供された情報に基づき、患者の急増は前回の新型コロナウイルスのパンデミックほど深刻ではないと述べ、新しい病原体や異常な病原体は検出されなかったと主張した。写真はジュネーブにあるWHO本部(FABRICE COFFRINI/AFP via Getty Images)

主権国家の権利侵すパンデミック条約…中国共産党の影ちらつくWHO(2)

(1)はこちら。

WHOは国境を越えた機関であり選挙民を持たず、WHOトップは国民によって選出されない。近年、WHOのビジネスモデルが変化している。WHOは主に民間資金に依存する国連の支部になった。マーガレット・チャン元事務局長は、予算の70%が民間資金で賄われていると述べた。資金提供者(ドナー)の中には、億万長者、製薬業界、中国がいる。典型的なドナーは個々の要求事項をもって参画してきており、WHOが特定の措置を実施することを期待している。

これはWHOの利益相反を引き起こす。我々はWHOが世界人口に対する無私の奉仕者であると想像しているが、お金の軌跡を追うとそうではないことがわかる。

中国がWHO事務局長に直接連絡していることは周知の事実だ。現在の事務局長の選挙を支援しただけでなく、CCPとの過去のつながりも共通の基盤を生み出した。事務局長と習主席が握手した写真は、誰がリーダーであるかを明らかにしている。中国はWHOを乗っ取り、この多国籍機関を米国に対する代理戦争の武器として使用している。

新型コロナウイルスのパンデミックの始まりについて少し振り返れば、いくつかの手がかりを得るかもしれない。中国はウイルスの発生を観測後、2020年1月中旬に武漢市のロックダウンを発動し、一方で海外旅行は安全であり営業を続けるべきだと国際社会に断言した。

世界の交通量を調査するトムトム・トラフィックによれば、中国は1月から国内旅行を劇的に減少させた一方で、海外旅行は通常のレベルに留めた。CCPは、ほぼ2カ月間ウイルスを世界的に広めた後、渡航規制を行った。

突飛な質問かも知れないが、武漢での新型コロナウイルスの発生は単なる事故だったのか、それとも捨て駒だったのか?

チェスのゲームで、14億人の国で500万人の都市を犠牲にすればゲームに勝つというなら、それは簡単なことだ。パンデミックを引き起こすことさえ、ボード上のゲームということなら、正当な戦術だろう。本当の目標は何だったのか?今回のパンデミックは、再来するともいわれている次のパンデミックに対して、どのような防止対策をとればいいのか、WHOに考えさせた。その後に引き続き起きたことは、自由な国に大規模な制限を課すパンデミック条約の導入だった。

規制は、権威主義国を標的にしたものではなく、常に自由な社会を標的としている。権威主義国は、既に国民に対して規制を行っているのだから。従って、WHOがパンデミックを防ぐために規制を実施した場合、自由主義諸国は他の態勢の国よりも打撃を受ける。これは、民間ドナーと中国がWHOに寄付する動機の一部となっている。CCPにとって、中国とWHOの協力は「ハサミ戦略」の一つであり、中国は再び刃を外部のパートナーであるWHOに当て始めた。

法的な懸念

現在、WHOは、国際保健規則IHR(2005)の改正、パンデミック予防条約という、広範囲な結果をもたらす2つの主要文書を準備している。急いで、2つの政策を可決させようとしているようだが、法曹界の学者は、これらには問題があると指摘している。通常は数年かかるものを数か月で決めようというのだ。煩雑な手続きがあるなか、投票をほぼ同時に行うとしているのであれば、これら2つを1つの文書として評価する必要がある。そうでなければ、2つの文書をはさみの2枚刃として見落とす可能性がある。

法律の専門家は、文書には重要で厳密な定義がないため、時期尚早に見えると語っている。規則は、健康上の緊急事態の宣言方法について述べているが、緊急事態の終了をいつ発表すべきかについて明確に定義していない。目的を定義しなければ、健康上の緊急事態は何十年も続く可能性があり、加盟国が終結を要求する方法についてのプロセスがない。

この定義に係るギャップは他の問題を含んでいる。改正版には上訴するメカニズムが書かれていない。言い換えれば、WHOの政策に反対する人々がそれを訴える場所がなく、権威主義的なシステム・モデルで推進されているというわけだ。我々の法制度では、セカンド・オピニオンを求める控訴裁判所が整備されている。市長、市議会、議会、または最高裁判所の前で反対意見を表明することができる。新しいWHO規則の下では、これらのオプションが定義づけされておらず、これらすべては不可能だ。

さらに、法的な問題として、重症度の程度が定義づけされていないため、インフルエンザでさえパンデミックと宣言される可能性がある。パンデミックの終結を宣言する方法や、パンデミック対策の終了宣言についても定義がない。言い換えれば、我々は、無限の期間パンデミックに直面する可能性があり、一方で製薬会社にとっては、ワクチンを次々と開発する機会が無限にあることになる。

パンデミックの宣言と終結を決定するのは、WHOの事務局長の手に委ねられているが、事務局長に決定と措置の責任を負わせるメカニズムはない。

議論する必要がある重要な項目がもう一つある。IHR(2005)改正には、偽情報を定義および管理する権限が含まれているが、これは危険な手段だといえる。本当の情報、偽りの情報についての意思決定権がWHOスタッフの手だけにあるなら、オープンな科学的対話はできなくなる。本当の声明を偽情報として分類すれば、それは検閲に当たる。検閲は言論の自由に反する。WHOのすべての加盟国の中で、米国は言論の自由を法律に、憲法に書き込んだ数少ない国の一つだ。

偽情報を管理するパワーは全体主義国ではなく自由主義国家を対象としている。新IHR改正とパンデミック条約は、人々の健康に役立つもののではなく、権力構造の確保を目的としたものであることを改めて思い知らされる。

なぜWHOは、幅広い科学的対話に参加する医師たちを集中的に管理しようとするのだろうか。そんなことより、特定の国できれいな水を確保しようとWHOが努力することの方が、多くの命を救うことになると思うのだが。

(3)に続く。

この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映しているわけではありません。

関連記事
気候変動の阻止が現代最高の政治的課題であるかのように捉えられ、他のすべてがこのひとつの目標に従属する。それが理性的な議論を拒む一方で、説得力のある感情的なマスター・ストーリーを形成している。こうした流れに警鐘を鳴らす新たな映画がオンラインで無料公開された。
1990年代、米国の支援で立ち上げられた中国のサイバー部隊は、今や弾道ミサイル以上の脅威となっている。親米派が多いロケット軍を粛清した習近平は直属の「情報支援部隊」を創設し、情報戦に血道を挙げる可能性がある。
中国共産党はWHOを代理人とし、米国に対する「ハサミ戦略」を始めるだろう。新たに進められているパンデミック条約がその引き金となる。
米国憲法は、まず第一に、神から与えられた権利と自由を守ることで知られている。最近「現在の危険委員会:中国」によ […]
内閣府の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」(以下、再エネTF)で、委員の大林ミカ氏(自然エネルギー財団事務局長)から提出された資料の一部に中国の国営送配電会社「国家電網公司」のロゴが入っていたことが3月23日に発覚した。大林氏は同月27日に、同委員を辞任したが、政府はこれで幕引きにせず、外国の影響工作の疑念を晴らすべく、国民に説明すべきだ。