2008年4月16日、米コネチカット州ニューヘイブンのイェール大学 (Christopher Capozziello/Getty Images)

中国共産党の法輪功迫害、米国のキャンパスにまで及ぶ=報告書

中国共産党による法輪功弾圧は、米国の大学内にまで及んでいることが、法輪大法情報センターの報告書により明らかになった。回答した学習者の5分の1が監視や嫌がらせといった被害を受けていた。

報告は中国共産党の影響工作の手法を詳述する。物理的・デジタル的な監視、中国国内の親族に対する迫害、偽情報が記載された中国語の教科書の使用、中国共産党傘下にある学生組織を使った監視などだ。

特に懸念されているのは、中国人留学生と大使館の連携だ。党の方針を受けて、中国学生学者連合(CSSA)は2017年以降、大学キャンパスで法輪功に関連する活動を検閲または嫌がらせを複数回行ってきた。CSSAの通報や監視によって、国内の家族の弾圧が強まる恐れがある。

「中国国内での激しい迫害が20年以上行われている。これに加え、党に従う必要のない在外中国人でさえ、弾圧の標的となっている」と法輪大法情報センターのリーバイ・ブラウデ事務局長は言う。

2018年、コロンビア大学に掲げられている法輪功のバナー(提供:法輪大法情報センター)

中国共産党が大学教科書を通じて、宗教弾圧を肯定する意見も広げている実態も明らかになった。イェール大学、ブラウン大学、シカゴ大学、ミシガン大学、ウェルズリー大学を含む少なくとも10大学が、中国語コースのカリキュラムに、法輪功を中傷するプロパガンダを含む教材を使用していた。

その一例として「Discussing Everything Chinese」と題する教科書を挙げ、「法輪功を誤解させ、その学習者が心理的問題を抱えているとすることで、中国共産党による法輪功弾圧を正当化しようとしている」と指摘した。

前出の中国学生学者連合会(CSSA)は前線部隊として、中国共産党の越境弾圧を手助けしている。

ペンシルバニア大学では中国のスパイ機関とされる孔子学院の闇を暴くドキュメンタリー映画『偽の儒教』が放映された。法輪大法クラブが開催し大学院生・専門学生会 (GAPSA)が宣伝した。イベント終了後、少なくともCSSAの79人の学生および元卒業生がGAPSAに苦情を送り、「反アジアの憎悪」を助長していると映画を批判した。

2018年秋、学生向けオリエンテーションフェアに参加したアリゾナ州の法輪大法クラブ (提供:法輪大法情報センター)

こうした越境弾圧について「大学側や政策立案者は中国政府の活動を先読みし、監視し、抑止し、対抗する措置を強化する必要がある」とブラウデ氏は言う。

報告書は大学と政策立案者が情報共有し事件の報告メカニズムを構築することや、中国の外交官が不適切な行動をとった場合に問責すること、国境を越えた弾圧に関する公聴会に法輪功学習者を参加させることなどを求めている。

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