中国不動産大手、恒大集団の許家印会長(Photo by Etienne Oliveau/Getty Images)

中国不動産大手・恒大集団の会長、警察の監視下に 債務再編にも影響か

中国の不動産開発最大手、恒大集団許家印会長が広東省の警察によって監視されていると、米ブルームバーグ通信が27日に報じた。28日、恒大集団の株式は香港取引所での株式売買を同日から停止すると発表した。

報道を受け、恒大関連の株が香港の株式市場で大きく下落した。中国恒大および上場子会社である不動産管理の恒大物業、電気自動車(EV)メーカー恒大汽車の3社の株価はそれぞれ10%以上の下落となり、これらの企業の時価総額はピーク時と比べて98.8%減少した。

警察が許氏を監視下に置いた理由は明らかにされていない。ブルームバーグによると、正式な拘留や逮捕ではなく、刑事訴追を意味するものではないとされる。

恒大集団との関係が深いとされる情報筋によれば、最近の数日間、許家印氏は会社関係者との連絡を取っていないという。

ロイター通信は恒大集団や広東省の警察、公安部に取材を試みたが、コメントは得られていない。

恒大集団は、総額3兆ドル以上の負債を抱えており、世界で最も債務が多い不動産開発業者とされる。中国の不動産業界の流動性危機の中で、恒大の動きは常に注目されている。

恒大は先週、規制当局が恒大の関連会社の調査を進めているため、新しい債券の発行ができないと発表。これにより海外での債務再編計画が困難な状況になっている。

恒大の海外での債務再編計画は総額3170億ドルに上るとされ、世界でも類を見ない大規模な債務再編の一つとなりそうだ。今年7月に公表された財務報告によれば、2021年と2022年にそれぞれ4兆7600億元と1兆59億元の純損失を計上している。

河南省聚台崗村の小さな農村に生まれた許家印氏は、今年65歳だ。改革開放路線に乗って90年代末に多くの土地を購入し、競合他社を買収して、恒大を中国最大の開発業者に成長させた。その後、自動車、サッカー、ミネラルウォーターなど多岐にわたる事業に進出し、恒大帝国を築き上げた。許氏自身もアジアで2番目に裕福な人物となった。

しかし、中国の習近平国家主席が不動産業界に対して行った業界整備の一環として、銀行がこの業界への融資を厳しく制限し始めたことで、他の大手不動産開発業者とともに恒大の事業は立ち行かなくなった。許家印氏の資産は2017年の420億ドルから18億ドルに急落。恒大の巨額債務は、中国のGDPの約30%を占める不動産業界の債務危機の引き金となった。

ブルームバーグの報道によれば、許家印氏は30年以上の党歴を持つ中国共産党の党員であり、中国人民政治協商会議の委員としても選出されており、政界とビジネス界の双方で広範な人脈を持っている。

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