9月、ホワイトハウスで開催された太平洋諸島フォーラム(PIF)で太平洋諸国指導者と並ぶ米バイデン大統領 (Photo by Win McNamee/Getty Images)

米国・太平洋諸島フォーラム首脳会議 気候変動とインフラへの焦点

最近、太平洋諸島フォーラム(PIF)の首脳陣をホワイトハウスに招いて首脳会議を開催したジョー・バイデン米大統領は、海面上昇から経済成長に至るまで、同地域に共通する課題の解決に向けた米国の取り組みを強調している。

ニューヨーク・タイムズ紙が報じたところでは、2023年9月下旬に2日間にわたり開催された米国・太平洋諸島フォーラム首脳会議では気候変動に焦点が当てられ、会議出席者等は地球温暖化と海面上昇により低地の太平洋島嶼国の危険が高まっていることに言及した。

バイデン大統領は首脳陣に対して、「気候危機に起因して国家的な地位や国連加盟国としての資格を喪失するといった事態が発生しないという保証を各国が望んでいることは十分に承知している」とし、 「今日、米国は太平洋島嶼国の意向を汲む姿勢を取ることを明確に表明している」と述べている。

現在、経済的威圧や軍事的強制といった手段を用いて勢力を伸ばす中国の活動に対する懸念が高まっているが、バイデン大統領はこの課題についても言及している。

米国政府の公式記録によると、バイデン大統領はまた、「米国は自由かつ安全で繁栄する開かれたインド太平洋地域を維持することに注力している」とし、 「米国はこの目標の達成を目指して、今回の会議に出席したすべての国々と協力することに全力で取り組む」と話している。

バイデン大統領は十数人の首脳陣に対して歓迎の意を示す前に、米国がクック諸島とニウエを国家承認すると発表した。 ニューヨーク・タイムズ紙が伝えたところでは、最近、ソロモン諸島とトンガに米国大使館が開設され、2024年にはバヌアツにも開設が予定されている。

太平洋諸島フォーラムの加盟国・地域には、オーストラリア、クック諸島、フィジー、仏領ポリネシア、キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、ナウル、ニューカレドニア、ニュージーランド、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツの16か国2地域が含まれる。

中国の影響力拡大に対する懸念を踏まえ、米国は太平洋地域における外交・経済関係の強化を推進している。ロイター通信によると、2022年に開催された第1回太平洋諸島フォーラム首脳会議において、太平洋島嶼諸国が中国の「経済的威圧」を回避できるように、バイデン大統領は米国が諸国を支援することを首脳陣に誓約している。 米国政府は今後10年間にわたる新たな支援として約1200億円(8億1000万ドル)を拠出すると発表した。

バイデン大統領はまた、今回の第2回首脳会議で追加支援を表明している。

「強力な(経済)成長は強力なインフラから始まる」と述べたバイデン大統領は、 「太平洋島嶼国のインフラ改善を目的として、議会と協力して資金 [290億円相当(2億米ドル)] を拠出する構えである」と表明している。

ニューヨーク・タイムズ紙が報じたところでは、インターネット接続の基盤となる海底ケーブル事業や違法漁業対策など、太平洋島嶼諸国は「米国からの他の支援にも高い関心を抱いている」と見受けられる。

ガーディアン紙の取材に応じて、「米国は当地域に対して深い道徳的、戦略的、歴史的な関心を抱いている」と語った某米国高官は、 「その米国の誓約を今回再確認した」と続けている。

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