宇宙ステーションで消えた2個のトマト　1年後に発見された

国際宇宙ステーションの中で、完熟したトマトほど貴重なものは、宇宙にはないのかもしれませんね。 米国の宇宙飛行士フランク・ルビオ氏は、宇宙ステーションで実験用のトマト2個を誤って紛失し、仲間から

「自分で食べたんじゃないの」

と非難されて来たのです。

ところが行方不明になってから約1年後、2個のトマトが発見されたのです。 米国航空宇宙局（NASA）は、関連の写真とビデオを公開しました。

宇宙飛行士は、国際宇宙ステーションに数か月滞在している間、主に包装された保存可能な食料品を食べています。ステーション内で新鮮な野菜を育てることは、月や火星への長期宇宙旅行ミッションを支える数多くの研究調査のひとつです。

ルビオ宇宙飛行士は、2022年に宇宙ステーションでXROOTS実験を開始しました。この実験では、水耕栽培と空気栽培の技術を使い、土や他の培地を使わずに植物を育てます。将来の宇宙探査ミッションに必要な植物システムに適したソリューションを提供することを目的としています。

ルビオ氏は今年、宇宙ステーションで育てられたトマト2個を収穫しました。ビニール袋に入れましたが、誤って紛失してしまったのです。 これがステーションで栽培された最初のトマトだったのです。

いくら探しても見つからず、

「多くの人が『あなたがこっそり食べたんでしょう』と言うので、 私はなくなったトマトを見つけて、自分が食べていないことを証明したかったのです。でも見つけられませんでした。 いつか、誰かが見つけてくれることを願っています」

と、言っていたのです。

NASAは、ルビオ氏が宇宙ステーションで、トマトを栽培している動画を公開しました。ルビオ氏は動画の中で、10月のメディア向けイベント向けに、トマトの「失踪」事件を話しました。

「それを小さな袋に入れました。同僚の1人が小学生たちと（公開）イベントを開いたんですけど、子供たちに『やあ、みんな、これが宇宙で収穫された最初のトマトだよ』って見せたらカッコイイと思いました。 私は自信満々に（トマトの入っている袋を）所定の位置に貼り付けました……そして、戻ってきたらなくなっていたのです」

宇宙ステーションの微小重力環境下で、壁に固定されていないものは漂流してしまう可能性が高いのです。

国際宇宙ステーションの運用25周年を祝って、宇宙ステーションのExpedition 70チームは、1年近く行方不明になっていたトマト2個を発見したと発表し、ルビオ氏は彼らが疑ったように、トマトを食べたわけではないと冗談を言いました。

ルビオ氏は宇宙ステーション滞在中、VEG-05研究のための別の実験をも行いました。それは、宇宙における「継続的な生鮮食料品生産システム」への需要を満たすことに役立っています。 

この実験では、宇宙ステーションの野菜栽培施設を使って矮性トマトを栽培し、果実の収穫量、微生物学的食品安全性、栄養価、宇宙士の味覚に対する受容性に及ぼす光の質と肥料の影響に焦点を当てています。

宇宙ステーションでの研究は、宇宙での植物栽培を成功させるために必要な技術と科学を進めて、人類が宇宙旅行の限界を押し広げるのに役立っています。

ルビオ宇宙士は2022年9月21日に初めて宇宙を飛行し、宇宙ステーションで371日滞在しました。2022年に米国宇宙飛行士マーク・ヴァンデヘイ氏が記録した355日間の滞在記録を更新しました。 ルビオ氏は今年9月に地球に帰還しました。