1月10日、中国山東省の煙台港で、中国自動車大手BYDの電気自動車の輸出の用意がされている(Photo by STR/AFP via Getty Images)

新疆アルミに強制労働懸念 BYDなど中国自動車メーカー、テスラやトヨタ等合弁も=国際人権団体

中国や他の世界大手自動車メーカーは新疆ウイグル自治区で生産されたアルミニウムを使用することで強制労働に関与していると、国際人権団体ヒューマンライツウォッチ(HRW)が1日発表の報告書で指摘した。

新疆ウイグル自治区は、中国共産党政府による長期にわたる弾圧の舞台となっている。約100万人の無差別な拘束、拷問、強制失踪、大規模監視、文化的・宗教的迫害、家族の分離、性的暴力、生殖権の侵害、さらには強制労働が含まれる。

報告で指摘されたのは、BYD(中国)、ゼネラルモーターズ(米国)、テスラ(米国)、トヨタ(日本)、フォルクスワーゲン(独)など、主要な自動車メーカーだ。これらの企業は、中国内での製造拠点や合弁事業を通じて、新疆で生産されたアルミニウムを供給網に取り入れている可能性がある。

新疆のアルミニウム産業は、中国政府が後援する労働移転プログラムにより、ウイグル人や他のトルコ系民族を強制的に雇用しているとされる。

新疆で生産されるアルミは、エンジンブロックや車両フレーム、ホイール、バッテリーフォイルなど、多くの自動車部品に使用されている。自動車産業は、2021年に世界で消費されるアルミの約18%を占めており、特に電気自動車にとって重要な素材である。中国は、2022年に世界供給の約60%を生産し、今後の需要増加に伴い、この分野での影響力を強めている。

中国はEVの世界的流行とともに自動車産業が成長を遂げ、国内外のメーカーが世界で最も多くの車を生産・輸出している。電気自動車のバッテリーや合金ホイールなど、数十億ドル規模の部品を全世界の自動車メーカーに供給している。

フォルクスワーゲンは、中国の合弁パートナーである上海汽車との間で運営する合弁事業を通じて、新疆の原材料の調達に関与していないとしつつも、その供給網に関する透明性については限定的な情報しか提供していないという。

テスラは上海にあるギガファクトリーでの自動車製造において、アルミの供給網マッピングを強化しており、強制労働の証拠はないとしているが、未知の起源のアルミが使用されている可能性については明言を避けている。

HRWは、自動社メーカーに対して供給網をマッピングし、新疆から部品や材料を調達していると判明した任意のサプライヤーとの関係を断絶すべきだと呼びかけている。

関連記事
中国の四大銀行の営業収入と純利益が急速に減少しており、経済活動の停滞や不動産市場の低迷など、さまざまな要因がその背後にあると専門家は分析する。
上海のオフィスビル市場は今、20%を超える空室率という過去最高の記録を更新した。不動産コンサルティング会社のCBRE Group Inc.の統計によると、上海の甲級(高級)オフィスビルの空室率は20.9%で、前四半期から1.1ポイント、前年同期からは2.8ポイント増加している。専門家は経済の低迷と賃料の下落が続く中、上海の経済回復の困難さを警告している。
地政学的な緊張を避けるため、アップルをなどアメリカ企業の台湾ファウンドリメーカーは、中国本土から生産拠点を移転させている。
米国と欧州連合(EU)が「中国の過剰生産」について深刻な懸念を表明する中、中国政府が自国内の電気自動車生産に関するすべてのデータを削除したことが確認された。中国国家発展改革委員会(発開委)は22日、公式ホームページを通じて「広東省深セン市で生産される電気自動車の価格が年初より5~10%下落したと統計された」と発表した。しかし、26日、発開委は電気自動車の生産および価格に関するすべてのデータを公式ホームページから削除した。
米イエレン財務長官の最近の訪中は、新たな貿易戦争の予兆であるとする見方がある。イエレン氏は中国当局に対し、ダン […]