コロナワクチンが子宮内環境に到達する能力を初めて実証した新たな報告

妊娠中にコロナワクチンを接種した女性の胎盤や胎児にmRNAが広がる可能性=論文

新たな報告によると、ワクチンのmRNAは接種後に注射部位に留まらず、妊娠中に接種を受けた女性の胎盤や胎児の臍帯血へと「全身的に広がる」可能性があるという。

『American Journal of Obstetrics and Gynecology』誌に掲載が認められた査読済みのpre-proof論文の中で、新型コロナワクチンが胎盤関門を通過して子宮内に到達する能力を初めて実証した2つの症例が発表された。さらに、研究者らは胎盤組織からスパイクタンパク質を検出し、mRNAが胎盤に到達することを示した。

研究者らは、妊婦の新型コロナワクチン接種後にmRNAが胎盤や胎児に到達するかどうかを調べるため、分娩直前の妊婦2人にmRNAワクチンを投与した。

本研究の筆頭著者である新生児科医のナジー・ハンナ博士は、エポックタイムズに対し電子メールで以下のように語った。

「本研究の第1の目的は、妊娠中のmRNA治療を取り巻く知識のギャップ調査だった。将来開発されるmRNA治療の基礎として、使用が定着している新型コロナワクチンを用いた」

研究者らは検体からワクチンのmRNAを発見

最初の患者「患者1」は、妊娠38週と4日の34歳女性で、ファイザー製ワクチンを2回接種し、ブースターワクチン(ファイザー製とモデルナ製)を2回接種した。モデルナ製ブースターワクチンの投与は、帝王切開で健常児を出産する2日前に行われた。

2人目の患者「患者2」は、妊娠40週の33歳女性で、ファイザー製ワクチンを2回接種し、2回目の接種は普通分娩で健常児を出産する10日前に行われた。

論文によると、研究者らは検査した両方の胎盤でワクチンのmRNAを検出した。ワクチンのmRNAは主に絨毛間質(胎児の毛細血管と絨毛細胞を支える結合組織層)で確認された。絨毛細胞は母体組織と胎児組織の間の主要なバリアであり、母体と胎児の間の栄養交換を支えている。

研究者らはまた、4回のワクチン投与を受けた患者1の脱落膜組織からワクチンのmRNAの「顕著に高いシグナル」を検出した。脱落膜は胎盤を形成する子宮内膜の一部だ。

スパイクタンパク質の発現も検出されたが、患者2の胎盤からのみだった。しかし、ワクチンのmRNAは患者1の臍帯血と母体血から検出された。

患者2の胎盤ではスパイクタンパク質が発現し、患者1では発現しなかったことから、胎盤に到達したmRNAがスパイクタンパク質に翻訳され、胎盤組織で発現するには、ワクチン接種後2日以上必要であることを示唆した。

最後に、研究者らはワクチンのmRNAの完全性がサンプルによって異なることを発見した。ワクチンの免疫反応を活性化する能力は、mRNAが完全に無傷かどうかに左右される。発見によると、ワクチンのmRNAは臍帯血では大部分が断片化しており、胎盤ではあまり断片化していなかった。最初の完全性は患者1の胎盤では23%、患者2の胎盤では42%保たれていた。患者1の母体血では、ワクチンのmRNAの完全性は85%と高いレベルであった。臍帯血では完全性は13%に低下し、生物活性が限られていることを示した。

新型コロナmRNAワクチンは、mRNAを送達するために脂質ナノ粒子を使用している。

ハンナ博士は「この発見は、脂質ナノ粒子が胎盤に到達し、胎盤細胞内でmRNAを放出し、そこでスパイクタンパク質に翻訳されることを示唆している。しかし、mRNAが胎児に到達するころには、もはや脂質ナノ粒子によってカプセル化されておらず、分解されている(胎児循環中に無傷で存在するmRNAはわずか13%)」とエポックタイムズに対して語った。

ハンナ博士は、最近発表された論文の著者は、胎盤における一過性のスパイクタンパク質の発現の意味や、分解されたmRNAの胎児への影響を評価していないと指摘した。

産婦人科医のクリスティアン・ノースラップ博士は、エポックタイムズに対し、自身が役員を務める医療支援団体「MyCycleStory」では2021年のワクチン導入以来この種のことを研究してきたと語った。

「新型コロナウイルスのいわゆる『ワクチン』の成分が胎盤や全身に存在することに、何ら疑問の余地はない」

「また、ワクチン有害事象報告システム(VAERS)には、母親のワクチン接種後に胎児が血小板減少症で死亡したという報告もあり、母親のワクチン接種後に胎児が子宮内で心臓発作を起こしたというエビデンスもある。いずれも新たな情報ではない。広く組織的に検閲されてきただけだ」

産婦人科医のダン・マクダイヤー博士は、エポックタイムズに対し、「胎児の臍帯血や胎盤組織にSARS CoV-2注射のmRNAやSARS CoV-2のスパイクタンパク質が存在するエビデンスが発見されても驚きはしない」と語った。

「妊婦にこの薬を投与するよう推奨したことは、私にとって現代医学史上最も無責任な行為のひとつだった。公衆衛生を守る使命を負った団体(FDA)と女性の健康を守る使命を負った団体(ACOG)がその職務を怠っていたことにとても失望している。なぜなら、これらの脂質ナノ粒子が胎盤を通過して胎児に影響を及ぼすことは、ネットで15分ほど調べさえすれば分かるからだ」

産婦人科医で母体胎児医学の専門医であるジェームス・ソープ博士は、エポックタイムズに対し、この論文はファイザーとモデルナの両ワクチンのmRNAが胎盤を通過して胎盤組織に入り胎児の血液に入ることを示していると語った。

「著者らは、子宮内膜である脱落膜において、『顕著に高いシグナル』を観察した。この脱落膜組織で濃縮されたmRNAは、高濃度のスパイクタンパク質に翻訳され、ヒトの生殖機能に対する無数の破壊的な影響、すなわち、重篤な月経異常だけでなく、不妊症、多胎妊娠合併症、妊娠中および分娩後の重篤な出血を引き起こす可能性が高い」

ソープ博士は、著者らが「ぞっとするような」発見をしていながら、妊娠中および非妊娠中の女性における新型コロナの罹患率および死亡率を軽減するワクチンの有効性を自分たちのエビデンスが「圧倒的に支持している」と結論づけたことを指摘した。

初期臨床試験で妊婦は除外されたが、mRNAの生体内分布を示唆する研究結果はあった

新型コロナmRNAワクチンの初期臨床試験で妊婦は除外されたため、ワクチンに含まれるmRNAと、妊婦のワクチン接種後に胎盤や胎児に到達するmRNAの生物学的分布に関するデータはなかった。しかし、ファイザー社モデルナ社が欧州医薬品庁に提出した評価報告書は、動物実験においてmRNAが肝臓、副腎、脾臓、卵巣など様々な組織に分布したことを示していた。

この動物実験では、他のmRNA注射剤に含まれる同様の組成の脂質ナノ粒子が、胎盤や他の胎児の器官に機能的なmRNAを送達したことを示している。

新型コロナワクチン中のmRNAが母体へのワクチン接種後に胎盤に存在するかどうかは、同一研究者による2つのヒトを対象とした先行研究で、それぞれ異なる方法で評価されていた。最初の研究では、母体および臍帯血、胎盤組織からmRNAは検出できなかった。研究者らは、ワクチン接種から出産までの間隔が長かったことと、研究で用いられた方法論が原因であるとしている。mRNAを検出する感度を向上させた2番目の研究でもワクチンのmRNAは検出されなかったが、これはワクチンのmRNAの配列ではなくSARS-CoV-2遺伝子を標的として調査が行われたためであるとされた。

今回の研究では、著者らはより高感度で安定したアプローチを用い、ワクチンのmRNAをより正確に定量することで精度を高め、またワクチンのmRNA専用に調整された調査によってより信頼性の高い検出を可能にした。

ハンナ博士はエポックタイムズに対し、「動物実験では、脂質ナノ粒子が肝臓、副腎、脾臓、卵巣など複数の臓器に分布することがはっきりと示されている。だから、胎盤に到達することは驚くべきことではなかった。ヒトでは、ワクチンのmRNAが母乳に分布することを以前発表している」と語った。

「いくつかのレベルで壊滅的」

マクダイヤー博士は、脂質ナノ粒子が胎盤を通過して胎児に影響を及ぼす能力は、「いくつかのレベルで壊滅的」であり、発達中の胎児の免疫系に影響を与える可能性があると述べた。

「想像してほしい。胎児の免疫系は、すべての細胞の表面にある主要組織適合性複合体(MHC)という分子を認識することで、『自己』の現れを早い段階で『学習』する。これらの細胞(細胞膜)の表面に、『ワクチン』によって誘導されたスパイクタンパク質が出現することによって、この『自己』の現れは間違いなく破壊される」

「さらに、細胞表面のMHCにもスパイクタンパク質の断片が現れる可能性が高い。これによって、これらのMHCはわずかに醜くなり、免疫系が『自己』を認識する能力に影響を与える可能性が高い」

胎児の細胞を混乱させ、発育中の胎児に必要なタンパク質の代わりにスパイクタンパク質のような外来タンパク質を産生させることによって細胞のホメオスタシスを破壊することは、有害な未知の結果をもたらすことは間違いないとマクダイアー博士は言う。彼の同僚の、ある小児神経外科医は、脳卒中を起こした胎児を何人か見たことがあるという。医師としてのキャリアの中でそのような事例に出くわしたことはなかったそうだ。

「スパイクタンパク質によって始まる血栓形成が脳卒中を引き起こすことは分かっている。従来の予防措置がとられていればこのような事態は避けることができたので、非常に残念だ」

ハンナ博士は、胎児にmRNAを取り込むことで潜在的なリスクがもたらされる可能性が高いが、生物学的な恩恵がもたらされる可能性も高いと考えている。

「mRNAに基づく介入は、母体や胎児の健康問題に対処する上で大きな可能性を秘めている。このような知見には、妊娠中のより安全で効果的なmRNAベースの治療法の開発を大きく前進させる可能性がある」

弁護士、調査ジャーナリスト。政治学に関する経歴を持つほか、栄養学と運動科学の資格を有する伝統的な自然療法士でもある。