孔子学院は表面的には非営利の教育機関だが、実際は「中共の対外宣伝機構の重要な部分」で、秘密裏に政治宣伝活動を行っている。写真は海外の孔子学院(大紀元)

早大高等学院に孔子学院 政府「情報公開働きかけ、動向を注視」

政府は、早稲田大学附属の早稲田大学高等学院に中国共産党の孔子学院と同様の機関が設置されていると回答した。「情報公開を働きかけ、動向を注視する」とした。神谷宗幣参院議員による主意書への答弁。

孔子学院は共産党の政策により海外に設置される中国語教育機関だ。日本には立命館大学、桜美林大学、北陸大学など現在12大学に設置されているが、党から多額の資金提供を受けており、教育内容や人事に党がかかわっているとの指摘がある。

中国共産党の浸透工作

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神谷議員は孔子学院の運営と透明性を高めるため、政府による具体的な情報公開の働きかけと開示された主な情報内容を質した。

政府は、2023年12月に各学校法人に対し、孔子学院の設置経緯、運営体制、教員、教育内容、予算・決算状況などの情報公開を求める事務連絡を出したと答弁した。

「各学校法人に情報公開を働きかけ動向を注視する」と答えた上で、大学の自主運営を妨げる事態や法令違反があれば「適切に対処する」と述べた。

また質問では、中国共産党の国防動員法国家情報法により、孔子学院のスタッフに対し中国の利益のための活動が義務付けられている可能性を指摘され「安全保障上の懸念がある」と追及された。しかし政府は「具体的内容が不明」として明確な回答を避けた。

今回新たに「早稲田大学高等学院に同様の組織がある」ことが判明した。高校生への影響も危惧される状況だ。中国共産党の影響力拡大に危機感を抱く一部野党は、「政府の対応が遅れている」と追及している。

米国や欧州諸国などは共産党への警戒感から閉鎖が相次ぎ、米国では数百あった孔子学院が現在は5つにまで減少した。昨年も、ポーランドの2つの大学が閉鎖を決定し、ドイツ教育省も安全保障上の観点から契約停止の必要性に言及した。

英シンクタンク「ヘンリー・ジャクソン・ソサエティ」は2022年の報告書で、孔子学院が「言語と文化」教育から逸脱し、政治的なロビー活動や技術提携の促進を行なっていると指摘した。

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