多額の対米貿易黒字を抱えるベトナムは、太陽光パネルなど米政府が輸入に神経をとがらせる電子機器の対米輸出が好調なため、貿易不均衡に対して強硬な姿勢を採るトランプ前大統領が返り咲けば、通商問題を巡り米国との間で緊張が高まる恐れがあると専門家はみている。ハノイで2021年1月撮影(2024年 ロイター/Kham)

ベトナム、トランプ氏再選なら通商関係緊張か

[ハノイ 12日 ロイター] – 多額の対米貿易黒字を抱えるベトナムは、太陽光パネルなど米政府が輸入に神経をとがらせる電子機器の対米輸出が好調なため、貿易不均衡に対して強硬な姿勢を採るトランプ前大統領が返り咲けば、通商問題を巡り米国との間で緊張が高まる恐れがあると専門家はみている。

米統計によるとベトナムは昨年の対米貿易黒字が1040億ドルと、中国、欧州連合(EU)、メキシコに次いで4位だった。

調査会社BMIはベトナムについて、「米国の保護主義の影響を最も受けやすい」と指摘。米国と自由貿易協定を結んでいない国の中で、「第2期トランプ政権になった場合に追加関税の標的になりそうな」電子機器などの輸出に最も大きく依存しているのがベトナムだとした。

ベトナムは昨年の対米輸出1140億ドル相当の約36%を、コンピューターやスマートフォンなど電子機器が占めた。

中でも太陽光パネルの輸出は前年の32億ドルから50億ドル近くに増加。米政府は中国からの積み替え輸出や新疆ウイグル自治区産の原材料の使用などの観点から、太陽光パネル取引への監視を強めている。

トランプ氏は政権1期目に貿易不均衡問題に対してバイデン氏よりも厳しい態度で臨んでいた。

ハノイに駐在する西側外交筋は、米大統領選でトランプ氏が再選された場合、ベトナムの対米貿易黒字が米政府との関係で最大のリスクになると危惧を示した。

ただ、この外交筋は、ベトナムの半導体産業を支援する米国の政策は変わらないと予想した。バイデン政権は中国関連リスクを抑制するため、友好国間でサプライチェーン(供給網)を完結する「フレンドショアリング政策」を進めており、支援はその一環。

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