(Photo by Tobias SCHWARZ / AFP)

フィリピン大統領 南シナ紛争中の海上安全強化を指令 – 海事委員会拡大へ

フィリピン中国共産党(中共)の南シナ海での紛争はさらにエスカレートしている。3月23日、フィリピンの補給船が中共の海警船から水砲で攻撃されたことを受け、フィリピンのボンボン・マルコス(Ferdinand Marcos Jr)大統領は対抗措置を宣言した。

3月31日、フィリピンは主権に対する「一連の深刻な挑戦」に対応するため、海事委員会の拡大を命じる大統領行政命令を発表した。

この行政命令は3月25日にマルコス氏によって署名され、3月31日に公開された。署名の目的は、フィリピンが直面している国家安全、主権、領有権、海洋管轄権の問題を「総合的に解決」することにある。

フィリピン補給船が中国海警船から攻撃

フィリピンと中国共産党の南シナ海での衝突が増加している。最近、フィリピンの補給船「Unaizah May 4」がセカンド・トーマス礁付近で中国海警局の船2隻から放水銃の直撃を受け、重大な損傷を負い、フィリピンは強い非難を表した。

2024年3月23日、中国海警局がフィリピンの補給船に放水銃で攻撃した(Handout/ARMED FORCES OF THE PHILIPPINES/AFP)

セカンド・トーマス礁は国連が認定したフィリピンの排他的経済水域内に位置しているが、中国共産党はこの地域への主権を主張し、船を配備してフィリピンの補給活動を妨害している。

マルコス大統領は、「フィリピンが海域の安定と安全を確保しようと努力しているものの、国家の領土完全性とフィリピン人の平和な生活、暴力や脅威からの自由を含む基本的な権利を脅かす厳しい挑戦に直面している」と指摘した。

フィリピンが行政命令を発表する直前の日曜日(3月24日)、マルコス大統領は3月23日に中国海警船がフィリピン船舶を攻撃したことに対して厳しく警告した。

大統領は、「フィリピン政府は西フィリピン海(WPS)の主権を放棄せず、中国の最近の脅威に屈することはない」と述べ、中国共産党に対して包括的な対応と反撃措置を取ると宣言した。

また、マルコス大統領はフィリピンが中共に対抗するための支援を国際同盟国に求める「要求」を提出したことを明らかにした。

「中国海警局員および中国海上民兵が白昼堂々と行っている行為はますます勢いを増しており、不法で、脅迫的で、侵略的で、危険な攻撃に直面し、関連する国家の政府機関や部門は、慎重かつ合理的な一連の対応措置と反撃策を適切に実施する」

 

「我々はどの国とも衝突を望んでいないが、恐怖に屈して沈黙したり、屈服したり、従うことはない。フィリピン人は屈服しない」と大統領は強調した。

2024年3月23日、中国海警船は水砲を使ってフィリピンの補給船を攻撃した(Handout/Armed Forces Of The Philippines/AFP)

海事安全と領土意識を高めるための新たな対策

マルコス大統領が署名した行政命令で、国家海岸監視委員会は「国家海事委員会」へと名称変更され、拡張された。この変更により、国家安全保障顧問、副検事長、国家情報調整局長、南シナ海特別タスクフォースなどが新たに加わった。

また、この命令は軍の役割を拡大し、フィリピン武装部隊全体(海軍のみならず)が委員会の支援機関とされた。

「国家海事委員会」は、フィリピンの海事安全と領土意識を強化するための「統一され、調整され、効果的な」枠組みを策定する中心的な組織となる。

マルコス大統領は、委員会の支援機関を9から13に増やし、宇宙局やフィリピン大学の海洋事務・海洋法研究所などが新たに含まれるようにした。

行政命令の発行に加え、マルコス大統領は米国やその同盟国との安全保障協力を強化している。4月にはバイデン米大統領、岸田文雄首相との会談を予定し、海上安全保障協力の推進、共同演習の拡大、日本からの防衛支援について話し合う予定である。

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