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視力は回復する?

白内障や緑内障は手術なしで回復できる?

中医学で白内障や緑内障を回復させることは可能なのでしょうか? 眼の体操や鍼灸、首(頸椎)の調整によって、一部の患者で視力が改善し、手術を避けられた例もあります。この記事では、古来の目の養生法の原理と実際の症例をご紹介します。

失明の二大原因:白内障と緑内障

古くから、白内障と緑内障は失明の主な原因とされてきました。現代医療の進歩により、白内障は人工水晶体の置換手術によって視力を回復できるようになったため、現在では主要な失明要因ではなくなりつつあります。一方、緑内障はより厄介な疾患です。進行がゆっくりで視神経が徐々に萎縮していくため、西洋医学では根本的な治療法が確立されておらず、進行を遅らせるのが限界とされています。

では、手術に頼らず白内障や緑内障を回復させる別の方法はあるのでしょうか? 筆者は臨床の現場で、以下のような症例に出会いました。
 

白内障は本当に回復するのか?

実例:半年間の自己マッサージで視力回復

50代のある女性患者は、白内障により右目の視力が深刻に損なわれ、ほぼ完全に見えない状態でした。視界は白い霧がかかったようにぼやけていたといいます。彼女は滞在先のイタリアで半年間過ごす必要があり、その期間、毎日欠かさず目のマッサージを続けました。

約3か月後、彼女の右目の白内障は完全に消失。イタリアの眼科医もその結果に驚きを隠せませんでした。西洋医学の見解では考えにくいことですが、この症例は、適切な方法と継続によって視力が回復する可能性を示しています。

実例:毎日1時間のマッサージで手術不要に!

別の患者は、白内障と診断され、2週間後に手術を予定していました。しかし手術に不安を感じ、筆者が以前紹介した眼の健康体操を見つけ、毎朝1時間のマッサージと他の運動を取り入れました。日中の時間にもできるだけ眼の体操を続けました。

2週間後、再び病院を訪れると、医師は白内障が消えていることに驚き、手術の必要がなくなったと告げました。ところが、しばらくして健康体操をやめたところ、白内障が再発。その後マッサージを再開し、再検査を受けると再び白内障が消えていたのです。

この症例は、視力を保つには継続したケアが重要であることを示しています。
 

なぜ眼球体操で目の病気が治るのか?

この眼の体操は、明代の医学書『養生類要』に記された「運睛除眼翳(眼球を動かして目の濁りを取る)」という節に由来します。そこでは、白内障の原因と治療法について詳しく述べられています。

「熱の害、気の損傷、肝虚、腎虚があれば、視力がぼやけ、目に翳りが生じる。長く放置すれば失明に至る。毎朝目覚めたら、座禅を組み心を静め、口と目を閉じ、眼球を14回時計回りに回し、次に反時計回りに14回回す。その後、目をしっかり閉じて少し待ち、パッと大きく開く。これを長く続ければ、内障や外翳は自然に消える。色欲は厳禁。細かい字を書くか読むことを推奨」

つまり、目の病気には主に4つの原因があるとされます:1、外的な熱によって体内のエネルギーや潤いが不足し、炎症などを引き起こす。2、気の不足により、エネルギーが頭部まで届かず循環が悪くなる。3、肝機能の低下。4、腎機能の低下。これらが進行すると、最終的に視力が失われる可能性があります。

治療法としては、朝起きた直後にあぐらをかいて座り、心を落ち着けた状態で、目と口を閉じたまま眼球を時計回りに14回、次に反時計回りに14回動かします。その後、目を強く閉じ、しばらくしてから一気に開くという動作を繰り返すことで、様々な目の疾患が自然に改善されるとされています。

また、色欲は腎を傷つけエネルギーを失わせるため避けるべきであり、細かい文字を書く・読むことも視神経の活性化に効果的だとされています。
 

目は五臓六腑とつながっている

『養生類要』に記された方法に加え、なぜ眼の周りを特に押さえる必要があるのでしょうか? 中医学の観点では、目の病気は単に目の問題ではなく、体内の「五臓六腑」と密接に関係しています。五臓六腑とは、中医学において体内のエネルギーシステムの中心とされる臓器のことです。

古代中国には「八卦」という、天地万物の変化を表す象徴的なシステムがあり、八つの方角と意味を持ちます。そして人間の五臓六腑は、目の周囲にそれぞれの位置が対応しているとされ、眼窩周辺の部位に分布しています。つまり、目の周りを指圧するという行為は、実際には五臓六腑の調整を行っていることになります。目の健康を保つことは、全身の調和を保つことにもつながっているのです。

目と五臓六腑はつながりがあると考えられています(提供:医道心伝)

 

続けることが効果のカギ

現代人はスマートフォンやパソコンを頻繁に使い、長時間画面を見つめる生活を送っています。その結果、眼球を動かす機会が減り、まばたきの回数も少なくなりがちです。こうした習慣が続くと、目が乾燥しやすくなり、眼球の動きをコントロールする筋肉も硬くなって、目の機能が衰えやすくなります。

そのため、日常的に意識して眼球をよく動かすことが大切です。この眼の体操で動作の回数が多いのは、それが理由です。眼球保健操は、何よりも「続けること」が大事で、継続してこそ効果が現れるのです。
 

緑内障はどうすれば改善できるのか?

緑内障の患者にとっても、眼の体操は眼圧の安定や視力の維持に役立つとされています。

緑内障には主に以下の2タイプがあります:

● 高眼圧型緑内障:房水(眼内の液体)の排出がうまくいかず、眼圧が上昇して視神経を圧迫します。重症化すると1か月以内に失明する可能性もあります。
● 低眼圧型緑内障:視神経が徐々に萎縮していくもので、自覚症状がほとんどないまま視野の一部が失われていくこともあります。

実例:低眼圧型緑内障の患者が視力20%回復

46歳の女性は視野が狭くなっていることに気づき、慢性緑内障と診断され、障害者手帳を取得しました。彼女は中医学の鍼治療に加え、眼の体操頸椎(首の骨)の調整を取り入れました。毎日3回の眼の体操と、週に1度の鍼治療を継続しました。

その結果、6か月半後には視野が広がり、両目の視力がいずれも20%向上しました。西洋医学では視神経の損傷は基本的に回復しないとされていますが、この症例は、適切なケアと運動の継続が視力に良い影響を与えることを改めて証明しています。

6か月半後、彼女の視野が広がり、両目の視力が20%向上(提供:医道心伝)

実例:高眼圧型緑内障の患者が眼圧を安定化

別の患者は、高眼圧型緑内障により長期的に点眼薬を使用していましたが、眼の充血や不快感が続いていました。筆者のアドバイスで眼の体操頸椎の調整を取り入れたところ、眼圧が安定し、視力にも改善が見られました。症状が安定したことで、点眼薬の使用量も徐々に減らせるようになり、薬への依存も軽減されました。
 

緑内障と白内障のための重要なセルフケア法

多くの患者が、眼の健康体操と首(頸椎)のケアを実践することで、眼圧の安定や視力の改善を実感しています。もちろん効果には個人差がありますが、白内障や緑内障に悩む人にとっては、毎日少なくとも1時間、眼の体操頸椎の体操を継続することが、症状の進行を抑えたり、場合によっては視力を回復させるカギとなる可能性があります。
 

スマートフォンが目に最も悪影響を及ぼす!

視力を守るためには眼の体操を行うだけでなく、筆者から改めての注意です。大人の場合、目を使って50分経ったら、必ず10分は休憩を取りましょう。

多くの白内障患者が眼の体操を続けることで視力が大きく改善していますが、スマートフォンを使いすぎると、わずか1週間も経たずに再び視界がぼやけるといった症状が現れます。

スマートフォンによる目へのダメージは、主にブルーライトの刺激と、それに加えてその他の放射波が眼の細胞に与える損傷によるものです。したがって、電子機器の使用を減らすことは、視力を守るための基本ルールです。

電子書籍を読む場合には、ブルーライトや放射線のダメージを抑える「電子ペーパー」の利用が推奨されます。研究によれば、スマートフォンによく使われる有機EL(OLED)画面と比べ、紙に近い電子インク画面の方が目の保護に優れ、目の充血や乾燥、視覚疲労といった症状を軽減する効果があるとされています。

電子ペーパーの主な利点:

● ブルーライトの抑制:従来の液晶ディスプレイと異なり、電子ペーパーは有害なブルーライトを発しません。

● フリッカー(ちらつき)なし:画面のちらつきがないため、長時間の使用でも目の不快感や疲労を大幅に軽減できます。

● 紙に近い読書体験:印刷された紙のような表示が可能で、読書がより快適になります。

● 低消費電力:ページを更新する時のみ電力を使用し、それ以外はほとんど電力を消費しません。そのため非常に省エネで、バッテリー寿命も長くなります。

● 屋外での視認性が高い:日光の下でも反射の心配なくはっきりと見えるので、屋外での使用にも適しています。

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(翻訳編集 華山律)

呉国斌
心医堂漢方医院院長