この100年間で技術は大きく進歩しましたが、人間の本質はあまり変わっていません。昔の世代が書いた本を読むだけで、人々が昔から何を大切にし、何を求めてきたかがよくわかります。
しかし、多くの人々は過去の知恵を「時代遅れ」で「現代には関係のないもの」と見なしています。そして、「人生をどう生きるべきか」という最良のアイデアは、今を生きる人々の中からしか生まれないと考えがちです。
私が気づいたのは、「健全なノスタルジー(懐かしさ)」と「今に合うかもしれないものを受け入れる柔軟な心」が、人間の成長にとって最適な組み合わせであるということです。私たちの先人たちが大切にしていた価値観を学ぶことで、現代文化の長所と短所がよりはっきりと見えてきます。
過去に目を向けるということは、昔の暮らしや信念に完全に戻ることを意味しているわけではありません。本当に優れたアイデアとは、過去の考えと現在の考えを組み合わせて、現代に適応しながらも過去に根ざした新しい生き方を創り出すところから生まれるのだと思います。
2025年に復活させたい価値観8つ
1. 忠誠心
家族や地域社会への忠誠は、他者を排除するという意味ではありません。しかし、現代の文化はそう感じさせてしまうことがあります。愛する人たちへの忠誠心は、私たちの選択に強い影響を与えるべきです。なぜなら、家族と地域社会こそが健全な社会の基盤だからです。正義や公平といった抽象的な価値も重要ですが、私たちは互いに対する責任という絆でも結ばれているのです。
2. 勤勉な働きぶり
裕福な社会では、一夜にして成功する話が注目されるため、楽にお金を得ようとする傾向が強まっています。今では「努力そのもの」が評価されることは少なくなり、結果や権力が得られれば、その過程は問われない場合もあります。しかし、昔ながらの努力には、忍耐力(がまん強さ)、根性(ねばり強さ)、決意といった、時代を超えて重要な人格の要素が表れています。
3. 倹約
意識的に質素な生活を選ぶ人は今も存在しますが、クレジット(信用払い)の普及により、収入以上に消費する人が多くなっています。しかし、倹約を重んじる社会は、消費を極限まで押し広げる社会よりも、はるかに壊れにくいのです。倹約を実践する人々は、お金だけでは本当の幸福が得られないことをすでに知っています。
4. 年長者への敬意
技術の進歩で社会の変化が早まる中、順応の早い若者に注目が集まるのは当然かもしれません。しかしこの考え方は、「経済的価値」が最も大切だという前提に立っています。年配の方々こそ、知恵、経験、広い視野、良識、そして学びを共有しようとする思いやりを持っています。そんな方々と共に過ごすことは、私たちにとって最高の学びの場となるのです。
5. 誠実さ
現代の人々が不道徳というわけではありませんが、「目的のためなら手段を選ばない」という考えが広まりつつあります。昔のように、信念を貫く姿勢が尊敬されることは少なくなってきました。だからこそ、古き良き「誠実さ」の価値が、もう一度社会の中で重要な位置を占めてほしいと思います。正直で明確な価値観に基づいて生きる人は、社会を健全に保つ「信頼」の土台を築いています。
6. 謙虚さ
自己アピールや自信を持つことが必要な場面もありますが、現代では「控えめな態度」や「落ち着いた振る舞い」は軽視されがちです。慎ましやかに生きることで、私たちはお互いに謙虚になり、誰かを出し抜くのではなく、支え合う姿勢を持てるようになります。派手で中身のない魅力よりも、静かで着実な美徳を大切にする社会のほうが、より豊かで調和のとれたものになるでしょう。
7. 忍耐
インターネットの普及により、私たちの生活は非常に便利になりました。即時の配送、即時の娯楽、検索での即答――これらによって、私たちは「待つこと」に対する忍耐力を失いつつあります。本当の人間関係や人格形成には、時間と努力が必要です。効率性が重視される今だからこそ、「時間」と「継続的な配慮」が本当に大切なことを思い出す必要があります。
8. マナー(礼儀)
極端に格式ばった生活を望んでいるわけではありませんが、礼儀や作法が重んじられていた時代には、どこか懐かしさを感じます。良いマナーは、日常に優雅さをもたらし、見知らぬ人とのちょっとしたやり取りを心地よいものにしてくれます。マナーとは、公共の場や家庭で他人に敬意を示すシンプルで効果的な方法なのです。街中でこの価値観がもっと見られるようになることを願っています。
(翻訳編集 井田千景)
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