今年5月以降、中国ではCOVID-19の新たな変異株「NB.1.8.1」が急速に拡大し始め、近隣諸国にも広がっています。これに伴い、入院患者や救急外来の受診者数も増加しています。
この変異株はアメリカにも既に広がっており、確認された症例はまだ少ないものの、存在が報告されています。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は以前、エポックタイムズに対し、「NB.1.8.1」は現在の監視データ上で確認された配列が20件未満と少なく、同機関のCOVID-19変異株ダッシュボードには表示されていないと述べています。このダッシュボードには、少なくとも300件以上の配列がある変異株のみが表示されます。
現在、アメリカで主流となっているのは「LP.8.1」ですが、初期の研究によると、「NB.1.8.1」の方がより感染力が高い可能性があるとされています。
この新変異株の際立った特徴として「喉の痛み」があり、医師たちはこの症状の緩和方法や、体の免疫力を高める方法を共有しています。
NB.1.8.1に関する重要な情報
中国の研究者が4月に発表したプレプリント論文によると、NB.1.8.1はLP.8.1の亜系統であるLP.8.1.1と比べて、より強い免疫逃避能力と、感染の引き金となるヒトのACE2タンパク質との結合性が高いという特徴を持っています。この免疫逃避能力の強さにより、過去に感染した人やワクチン接種済みの人でも再び感染する可能性があります。
研究チームは、現在流行している他の変異株と比較して、NB.1.8.1の追加変異は「将来的に主流となる可能性がある」と結論づけています。
この変異株の毒性(重症化の度合い)についてはまだ明らかになっていませんが、世界保健機関(WHO)は「他の変異株と比べて重篤な症状を引き起こすことは確認されていない」と述べています。
中国メディアの報道によると、NB.1.8.1の最も顕著な症状は「喉の痛み」であり、中国のネットユーザーの間では「カミソリのような喉の痛み」と表現されています。
ヒューストン大学医学部のジョセフ・バロン教授は、春休みから人々が戻ってくるにつれてCOVID-19の急性感染者が増加していると述べています。ただし、多くの患者は数日間の治療で回復しているとのことです。
ニューヨークの「バランス健康センター」の内科医キース・バーコウィッツ博士も急性感染の増加を確認しており、さらに懸念されるのは、一部の患者に持続的な症状が現れ、それがエプスタイン・バーウイルス(EBウイルス)など他のウイルスの再活性化と一致しているという点です。
研究によれば、COVID-19による免疫低下がEBウイルスなどのヘルペスウイルスの再活性化を引き起こす可能性があり、これらのウイルスの沈静化には時間がかかるとバーコウィッツ氏は述べています。
また、デューク大学医科大学院のマイク・ホールガー准教授は、SNS「X」で発信したCOVID-19の予測において、アメリカ国内の感染状況は現在は落ち着いているものの、今後数週間で増加すると予想しています。バーコウィッツ氏は「伝統的に、COVIDの流行は中国に続いてアメリカにも広がる傾向があります」と語りました。
アメリカでは現在、カリフォルニア、ハワイ、ニューヨーク、オハイオ、ロードアイランド、バージニア、ワシントン州など複数の州でNB.1.8.1が報告されています。
COVIDによる喉の痛みの予防と治療法
バロン博士は、最近中国から帰国した複数の患者を診察しましたが、彼らの主な訴えは、COVID-19の他の一般的な症状である息切れや発熱ではなく、「喉の痛み」だったと述べています。
彼はエポックタイムズの取材に対し、「この病気は自然に回復するもので、ほとんどの患者は2〜3日で『ずっと楽になった』と話している」と語りました。「自然治癒する病気」という意味で、時間が経てば症状は改善していきます。
バロン博士は、急性感染の期間中および予防策として、ビタミンC、ビタミンD、亜鉛の摂取を推奨しており、免疫力を高める助けになると述べています。また、ヨード(ポビドンヨード)スプレーを鼻や口に使うことで、喉の痛みの緩和にも効果があるとしています。
小規模な臨床試験では、ヨードスプレーがCOVID-19患者のウイルス量を減らす可能性が示されています。バロン博士によれば、ヨード濃度が1.25%未満のスプレーの方が鼻腔や喉の刺激を避けられ、より効果的とのことです。ヨードスプレーは広範な抗菌作用を持ち、細菌の殺菌やウイルスの不活化に役立ちます。
ただし、甲状腺に問題のある方は、ヨードスプレーが甲状腺ホルモンの生成に影響を与える可能性があるため、使用前に医師への相談が必要です。
一方、バーコウィッツ博士は、喉の痛みやリンパ節の腫れには「N-アセチルシステイン(NAC)」の使用を勧めています。細胞研究によると、NACはSARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパクと結合してウイルスを不活性化し、感染を防ぐ効果があるとされています。また、NACは粘液を分解する作用を持つことで知られています。
さらに、重曹水でうがいをすると、口内の pH 値を高めてウイルスの生存に適さない環境を作ることができるため、感染の緩和にも役立ちます。
(翻訳編集 華山律)
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