西洋の多くの地域では、朝食は砂糖の多いシリアル、風味付きヨーグルト、白いトーストといった「急いで済ませる儀式」になっています。これらの習慣は当たり前のように思えるかもしれませんが、決して無害ではありません。
多くの一般的な朝食は「健康的」として販売されていますが、実際には1日の始まりに体が必要とする栄養を十分に提供できていません。朝に何を食べるか、あるいは食べないかは、気分やエネルギーだけでなく、長期的な健康にも影響を及ぼします。
欧米風の朝食の問題点
シリアル、ペストリー、グラノーラバー、インスタントオートミールパックなどの一般的な朝食食品の最大の問題は「砂糖が多く、タンパク質と食物繊維が少ないこと」だと、ART Health Solutionsの栄養士メアリー・カリスティン(Mary Curristin)氏はエポックタイムズに語っています。この組み合わせは、血糖値の急上昇と急降下を招く可能性があります。
5月に公開された分析では、2010年から2023年に米国で発売された子ども向け朝食シリアルを調査し、その多くで脂肪・砂糖・ナトリウムの量が増え、繊維とタンパク質の含有量が減少していることが明らかになりました。現在、多くのシリアル1食分には、アメリカ心臓協会が子どもに推奨する「1日の追加糖の上限」の45%以上が含まれています。
「このような朝食は、最初にエネルギーを一時的に高めますが、その後急激に低下し、イライラや集中力の低下、さらなる空腹感や食欲の増加を招きます」とカリスティン氏は述べています。
また、長期間にわたって高糖質で超加工された朝食を食べ続けることは、インスリン抵抗性、体重増加、腸内マイクロバイオームの不均衡といったリスクを高める可能性があると付け加えました。
朝食食品に関する誤解
人々は「朝食はこうあるべき」という固定観念から、砂糖の多い、あるいは加工された朝食アイテムを選ぶことが少なくありません。多くのアメリカ人は、トースト、シリアル、パンケーキを「唯一の許容される朝食オプション」と見なし、より栄養価の高い食品は昼食や夕食に食べるものとしています。この考え方は、1日の始まりに健康的な選択を制限してしまいます。
また、多くの人気ある朝食食品が定番になった理由は、その栄養価ではなく、強力な広告キャンペーンによるところが大きいのです。
研究者はさらに、多くの他文化では、アメリカ人が通常「昼食や夕食向き」と考える食品を朝食として食べるのが普通だと指摘しています。
朝食を抜くことを考える?
「いっそ朝食を完全に抜いてしまおう」と考える人もいるかもしれません。しかし、朝食を抜くことには予想以上のデメリットがある可能性があります。
約22,000人の大学生を対象とした大規模な研究では、時折または定期的に朝食を抜くことが、幅広い不健康な行動と関連していることがわかりました。朝食を抜いた学生は、果物や野菜の摂取量が少なく、ソフトドリンクを多く飲み、脂肪やコレステロールを多く摂取していました。また、過度な飲酒、喫煙、ギャンブルをする傾向も高かったのです。
影響は身体的健康だけにとどまりません。朝食を抜く人は、うつ病、睡眠不足、学業成績の悪化を報告する可能性も高いことが示されています。
健康的な朝食の重要性
なぜ朝食がこれほど重要なのでしょうか。その理由の一つは、精神的明瞭さと感情の安定をサポートする役割にあるかもしれません。
夜間に食事をとらない間に体内の蓄積エネルギー(グリコーゲン)は減少します。朝食はそれを補充し、脳が必要とするグルコースを提供します。このグルコースは、気分・集中力・幸福感に影響を与える脳内物質セロトニンの生成を助けるトリプトファンの働きも支えます。
別の研究では、朝食を食べる頻度が高いほど体重が減る傾向があることも示されました。週に1日多く朝食をとるごとに、約0.5%多く体重が減少していたのです。これは年齢や体重などの要因を調整した後も当てはまりました。
つまり、朝食を食べること自体が体重減少に直結するというよりも、1日を通じてより良い食事パターンや健康的な生活習慣を支える効果があるようです。
その理由の一つは、健康的な朝食が血糖値と食欲ホルモンを調整し、より強い満腹感をもたらし、午後以降のエネルギー急降下を防ぐことにあります。さらに「早めに多く食べ、遅くに少なく食べる」ことは体の自然な体内時計に合っている可能性もあります。
同じ研究では、同じカロリーを摂取していても、大きな朝食を食べた女性は、夕食を最大の食事とした女性の2倍以上の体重を減らしたという結果も得られています。
朝食の質が重要
朝食を「食べるかどうか」よりも大切なのは、「何を食べるか」です。
全粒穀物、卵、乳製品など、繊維とタンパク質が豊富な朝食は、1日を通してモチベーション、集中力、覚醒度を高める助けとなります。
繊維を多く含む朝食を食べる人は、食事全体の質を示す「地中海式食事スコア」で高得点を獲得する傾向があることも示されています。わずかな繊維の増加でさえ、1日の後半により健康的な食事選択につながるようです。
実際、朝食で約1.5gの繊維を摂取すると、夕食の質の向上と関連していました。
一方で、朝食でわずか10gの砂糖を摂ると、昼食の栄養の質が低下する傾向が確認されています。つまり、朝に少量の砂糖をとっただけでも、その後の食事選択に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
健康的な朝食の姿
では、現実的でバランスの取れた朝食とはどのようなものでしょうか?
栄養士メアリー・カリスティン氏は、繊維が豊富な炭水化物+タンパク質+健康的な脂肪を組み合わせることを推奨しています。例として:
- 全粒オーツにベリーとナッツを加えたギリシャヨーグルト
- 全粒トーストに卵とアボカド
- チアシードと果物を使ったオーバーナイトオーツ
忙しい朝には、栄養士メリッサ・ムロズ=プラネルス氏が次の代替案を勧めています:
- 焼きオートミールバー
- 事前に用意できる朝食ブリトー
- 果物、葉物野菜、タンパク質を詰め込んだスムージー
「これらは砂糖の多いペストリーや加工バーよりも栄養価に優れ、持ち運びにも便利です」と彼女は述べています。
また、豆腐の野菜炒めや豆の全粒ボウルといった夕食の残り物でさえ、十分にバランスが取れた朝食になるとも付け加えています。
シリアルを選ぶときのポイント
シリアルを選ぶ場合、カリスティン氏はラベルをしっかり確認することを推奨しています:
- 1食あたり繊維3g以上、砂糖5g未満
- 全粒穀物を使用し、添加物が少ないもの
- 理想的にはタンパク質3~5gを含むもの
- 鉄・ビタミンB・ビタミンDで強化されているとさらに良い
「小さくても栄養価の高い選択を目指すことが大切です。最初の食事がその日のトーンを決めるのです。安定したエネルギー、満腹感、栄養密度を意識してください」— メアリー・カリスティン氏
(翻訳編集 日比野真吾)
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