バイオテクノロジー企業uniQureが開発中の試験的遺伝子療法は、ハンチントン病の進行を3年間で最大75%遅らせたことが明らかになり、致命的な脳疾患であるこの病気の経過を変える初の治療法として期待が高まっています。同社はこの結果を9月24日に発表しました。
ハンチントン病は、異常な遺伝子が脳内で毒性を持つタンパク質を生成することで引き起こされる、まれな遺伝性疾患です。症状は30代または40代で現れ、10〜20年をかけて進行し、筋肉の制御能力、認知機能、自立性を徐々に失わせます。現在、疾患の進行を遅らせたり止めたりする承認済みの治療法は存在しません。
この新たな治療法「AMT-130」は、一度の手術で遺伝物質を脳細胞に直接注入するという方法で行われます。
研究では、この療法が、運動能力、認知機能、日常生活のスキルを総合的に評価する「複合統一ハンチントン病評価尺度」において、疾患全体の進行を有意に遅らせたことが示されました。また、患者の自立生活能力を評価する「総合機能能力尺度」でも改善傾向が見られました。
「これらの画期的なデータは、ハンチントン病における疾患修飾効果として、これまでで最も説得力のある成果であり、緊急性の高いこの分野において大きな希望となります」と、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのハンチントン病センター所長であり、臨床神経学の教授でもあるサラ・タブリジ博士は声明で述べました。
「AMT-130は、疾患進行を有意に遅らせる可能性があり、この壊滅的な疾患に苦しむ患者とその家族にとって、待望の希望をもたらします」
疾患全体の進行遅延に加え、患者は日常生活の機能をより長く維持し、記憶力や運動スキルにも改善傾向が見られました。また、治療を受けた患者では、脳細胞損傷のバイオマーカー(神経フィラメント・ライトチェーン)のレベルが低く、療法が神経細胞を保護する可能性を示唆しています。
「これらのトップラインのデータ、そしてハンチントン病の影響を受ける個人やご家族にとっての意味に、非常に大きな期待を寄せています」と、オランダ・アムステルダム本社および米マサチューセッツ州レキシントンに拠点を持つuniQureの最高医務責任者、ワリド・アビ=サブ博士は述べました。
「今回の成果は、AMT-130がハンチントン病の治療に新たな道を開く可能性を示すとともに、標的を絞った一回投与の遺伝子療法が神経疾患に有効であることを裏付ける重要な証拠です」
uniQureは、今回の療法が全体として良好に耐えられ、試験期間中の約3年間で新たな深刻な副作用が報告されなかったことも明らかにしました。
同社は2026年初頭にアメリカの規制当局へ承認申請を行い、同年後半の市販化を目指しています。米国では、約41,000人がハンチントン病と診断されており、さらに約200,000人が異常遺伝子の保有者とされています。
もし承認されれば、AMT-130はハンチントン病の進行を遅らせる初の承認療法となり、長年治療が困難とされてきたこの疾患に対して、患者とその家族により多くの「自立した時間」をもたらす可能性があります。
(翻訳編集 日比野真吾)
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