神韻を恐れる中国共産党 法廷文書が示す証拠
世界最高峰の中国古典舞踊と音楽の芸術団「神韻(シェンユン)」の公演は、5千年の中国伝統文化を表現している。しかし、中共政権はこれを「最も恐れる対象」として、法輪功学習者への迫害と並行し、世界各地で弾圧を強化している。
判決書や証言から、その驚くべき実態が明らかになった。ある中国人市民は、神韻公演に関する海外ニュースをノートパソコンで閲覧していたという、それだけの理由で当局に逮捕され、有罪判決の証拠とされてしまったのだ。
本稿では、神韻報道の閲覧すら許されない、中国における信仰・文化弾圧の最新状況を、具体的な判決事例を通じて伝える。
神韻芸術団は2006年にニューヨークで設立された。毎年、世界約20か国・200以上の都市で巡回公演を行い、その演目を通じて5千年にわたる中国伝統文化を表現している。これこそが中共政権にとって最も恐れている対象であり、当局は世界各地で徹底した弾圧を続けている。
神韻報道の閲覧で逮捕される
エポックタイムズが入手した複数の判決書や起訴状によれば、中国国内では法輪功学習者が神韻のDVDを配布したり、神韻に関する報道を視聴したりしただけで不当な有罪判決を受ける事例が相次いでいる。
弾圧の事例として、2022年11月、安徽省合肥市蜀山区検察院が発行した起訴書の内容がある。それによると、ある法輪功学習者(姓は王)の女性とその友人は、神韻関連の報道を閲覧していた最中に警察に踏み込まれ、逮捕された。
起訴書によれば、警察は王氏が法輪功学習者であることをすでに把握しており、長期にわたって監視していた。文書には、王氏の尾行から逮捕に至るまでの経緯が詳細に記されている。
記録によると、2022年5月20日午後7時ごろ、王氏は地元の交差点で通行人に法輪大法の素晴らしさを伝え、中国共産党および関連組織からの脱退を勧めていた。
同年8月3日午後、王氏は友人宅を訪ね、2人でノートパソコンを使って明慧ネットの記事「神韻芸術団の今年の巡回公演が全て大成功のうちに終了、米国首都の観客の感謝」を閲覧した。
その日の午後8時ごろ、尾行していた警察が部屋に踏み込み2人を逮捕した。同夜10時、警察は王氏の自宅に押し入り、家宅捜索を行った。
法輪功学習者の王氏とその友人は、前述の神韻関連記事を閲覧中に警察により逮捕された。
王氏が法輪功を理由に不当に拘束されたのは、1999年が最初である。その後も信仰を放棄しなかったため、たびたび拘束を受け、計2度の不当な有罪判決が下された。その合計刑期は6年に及ぶ。
中共の検察は、王氏を「累犯」と認定し、より重い刑罰を科すべきだと主張した。
明慧ネットの報道によれば、2023年11月2日、王氏は不当に1年6か月の刑を宣告され、罰金2千元(約4万5千円)を科された。2025年5月初め、彼女は不当拘禁を終えて帰宅した。
この事件は、神韻に関する報道の閲覧を「犯罪証拠」として利用し、違法な逮捕と判決を行った典型的な迫害事例である。
世界各地で高まる神韻への評価
王氏が不当な判決を受けたのは、「神韻芸術団の今年の巡回公演が全て大成功のうちに終了、米国首都の観客の感謝」という記事を読んでいたことが理由である。では、その記事には何が書かれていたのか。
記事は、アメリカのワシントンの政治・経済・文化各界のエリートが神韻の名声を慕って来場した盛況ぶりを紹介し、公演を観たアメリカの議員、政府高官、外交官、芸術家、実業家、技術者らが深い感動と感謝を語る様子を伝えていた。
神韻芸術団は2006年、米ニューヨークで法輪功修煉者によって設立された。以来、中国古典舞踊を中心とする世界有数の舞台芸術団へ発展し、現在は同規模の8つの芸術団を擁して世界各地を同時に巡演している。年間の観客数はおよそ100万人に上る。
神韻の公演は約15の舞踊と音楽演目で構成され、「共産主義以前の中国」をテーマに、約2時間にわたり「5千年の中華文明」を芸術的に描き出している。
演目にはモンゴル族やチベット族など、中国50以上の少数民族の舞踊も含まれており、中共が長年抑圧してきた彼らの文化的アイデンティティを鮮やかに示している。
また、歴史上の英雄や皇帝、偉人たちの物語を題材にし、中共当局が数十年にわたって改ざん・抹消を試みてきた真の中国史を再現している。
さらに、現代中国を舞台に法輪功学習者が迫害に直面しながらも信仰を貫く物語も含まれている。
過去20年間にわたり、神韻公演は世界各地で高い評価を得ている。
アメリカ陸軍の退役中将で元国家安全保障顧問のマイケル・フリン(Michael Flynn)氏は次のように語った。 「これは偉大な奇跡であり、真の中国文化を極めて知的な方法で示している。神韻はわずか数時間で5千年の悠久の歴史を生き生きと語っているため、誰にでも理解しやすい」
さらにフリン氏は、中共が神韻を弾圧する理由についても言及した。「中共は、世界の人々が伝統的な中国文化の偉大さとその影響力を知ることを望んでいないのだ」と述べた。
中共による26年間の法輪功迫害、弾圧は国内から海外へ拡大
中共が神韻(シェンユン)への弾圧を強化しているのは、法輪功への迫害が海外にも拡大していることを示す動きである。「エポックタイムズ」の報道によれば、2022年、中共党首の習近平は各機関に対し、海外での法輪功弾圧を強化するよう指示し、特に法輪功学習者が設立した神韻芸術団などの団体を重点対象としたという。
中共から逃れた人々や米連邦捜査局(FBI)によれば、中共政権は法輪功の団体を自らの統治に対する脅威とみなしている。その理由は、法輪功が国民に対し共産主義とは異なるもう一つの社会的ビジョンを提示しているためである。
法輪功(法輪大法)は「真・善・忍」の原則に基づき修煉する精神的実践である。1990年代初頭に中国で公開され、瞬く間に全中国へ広がった。中共の公式推計によれば、1990年代末には学習者数が7千万から1億人に達していたとされる。
中共による法輪功への残酷な迫害は26年に及ぶ。しかし今日、法輪功は世界100以上の国と地域に広がり、人々が自由に法輪大法を学び修煉している。
神韻関連資料の所持が迫害の口実に
王姓の女性が経験した事件は、法輪功学習者に対する無数の冤罪事件の一つにすぎない。「エポックタイムズ」が最近入手した複数の判決書によれば、2012年の時点ですでに、神韻公演に関するCDや画像が有罪の証拠として使用されていた。
北京市順義区裁判所の2017年の判決書では、段姓の法輪功学習者に不当な懲役1年6か月を宣告している。判決理由として挙げられたのは、同氏が2000年~15年までに作成した法輪功関連CD17枚、神韻公演の画像55枚、『九評共産党』関連の画像4枚、法輪功のお守り102個などで、いずれも迫害の「証拠」とされた。
河北省泊頭市裁判所の2012年の判決書では、王姓の法輪功学習者に不当な懲役3年を宣告している。証拠として提出された物品には、法輪功書籍や「真・善・忍」の掛け軸のほか、神韻公演のCD100枚、同公演の表紙9800枚、2012年神韻公演のポスター200枚などが含まれていた。
中共の警察は王氏の自宅から衛星テレビ受信機を押収した。この種の受信機は、中共のネット封鎖によって遮断されている海外衛星放送を視聴できる。また、警察は多数のDVDを押収した。
判決書によると、王氏は2012年2月に違法に拘束され、1か月後に正式逮捕された後も長期間拘禁された。当時、王氏は高齢の母親と幼い息子の面倒をみており、弁護士は裁判官に対して情状酌量を求めた。
また、同判決書には、王氏が2002年にも信仰を理由に1年間の労働教養処分を受け、不当に強制労働所に収容されていた経歴が記されている。
甘粛省隴西県裁判所の2013年の判決書では、陳姓の法輪功学習者が懲役3年6か月を宣告された。押収された証拠品には法輪大法の書籍や「真相紙幣(迫害の真実を伝えるメッセージを書き込んだり印字された紙幣)」のほか、2012年神韻公演のDVD14枚、神韻芸術団合唱団コンサートのDVD2枚などが含まれていた。
河北省石家荘市長安区裁判所の2014年の判決書では、李姓の学習者が懲役5年を宣告された。法廷資料によると、押収品には神韻公演のCD1枚、華人新年晩会のCD3枚、新唐人晩会のCD1枚が含まれていた。押収品の多くはすでに亡くなった母親が生前に所持していたものである。
李氏は信仰に関する情報資料を他人と共有していたとされ、その中には法輪功関連コンテンツや楽曲、神韻公演を収めたCD123枚、「真・善・忍」「法輪大法は素晴らしい」と印字されたステッカー約1200枚などがあった。
また別の判決書によれば、2013年、一人の女子学生が『九評共産党』や神韻公演DVD数枚などを所持・配布したとして起訴された。この学生は2000年代初めにも信仰を理由に複数回にわたり拘禁され、2度の労働教養処分で計3年間の強制労働を強いられていた。2012年には再び信仰を理由に逮捕された。
彼女の陳述書には、警察による不当拘禁中の暴行や拷問が詳細に記録されており、肉体的・精神的に深刻な苦痛を受けた様子が明らかにされている。母親は娘の救出のため奔走したが、再会を果たせぬまま亡くなった。
これらの事例は氷山の一角にすぎない。1999年に法輪功への迫害が始まって以来、中共は全国規模で大規模な逮捕を繰り返しており、多くの法輪功学習者が信仰を理由に繰り返し拘禁や実刑判決を受けている。拘禁施設では拷問により信仰放棄を強要されており、この残虐な迫害は25年前から現在までほとんど変わっていない。