男性が「無償教育を。富裕層に課税を」と「共産主義」と書かれたプラカードを掲げている写真 Getty Images

社会主義の背後にある反社会的な行為 合法的略奪の構造

オーストリア学派を代表する経済学者ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスが提唱した人間行動学(プラクシオロジー)の出発点は、「人間は目的をもって行動する」という極めてシンプルで力強い原理である。より具体的には、人はその時点で最も価値があると判断したものに従って、手元にある選択肢の中から行動を選ぶ、という考え方だ。

この目的は「幸福の増進」と言い換えることもできるし、ミーゼス自身がややぎこちない表現で述べたように、「感じている不安を軽減すること」と表すこともできる。

しかし、これは人間が常に賢明な選択をするという意味ではないし、長期的に自らの人生にとって最良の行動を選ぶという意味でもない。ドキュメンタリー映画『皇帝ペンギン』に登場するペンギンのように、自然がプログラムした最適解に従って生きる存在とは違うのだ。ペンギンには選択の余地がほとんどなく、生存のために本能に従い決まった行動を取るだけである。

▶ 続きを読む
関連記事
中共は対日姿勢を一段と攻撃的にしているが、軍事バランスを見るかぎり、実際の衝突を選べる立場にはない。中共軍には装備の品質問題や組織的腐敗など深刻な弱点があり、日米同盟を刺激すれば中共自身が壊滅的な結果を招きかねないのが現実だ
中共当局による突然の公演中止にもかかわらず、浜崎あゆみは無観客の上海会場でフルステージを完遂。毅然とした姿勢が中国内外で称賛を集め、政治的圧力を上回る“完勝”を果たした
三年もの間、民の課役をゆるし倹約を貫いた仁徳帝。民の竈の煙に安らぎを見いだしたその御心は、豊かさの本質を問い直す今の日本にも静かに響いている
中国で利益を得られるのは「一時的」。技術を奪われ、市場は最終的に中国企業のものになる。西側企業は今ようやく、この現実に気づき始めた