太平洋に放たれた戦略的シグナル 中共軍SLBM試射の狙い
中国共産党(中共)軍は7月6日、原子力潜水艦から太平洋に向けて弾道ミサイル1発を発射した。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実射を公式に発表するのは極めて異例であり、日本、オーストラリア、ニュージーランド、台湾はいずれも地域の平和と安定を損なう行為として懸念や批判を表明した。
中共海軍報道官の王学猛海軍大佐は、「海軍の潜水艦1隻が太平洋の公海上で模擬弾頭を搭載した戦略ミサイル1発を発射し、予定海域へ正確に着弾した」と発表した。一方で、発射地点や着弾地点などの詳細は公表していない。
米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』によると、オーストリアの首都ウィーンに本部を置くシンクタンク「オープン・ニュークリア・ネットワーク」のアナリスト、徐天然氏は、中共当局が公表した航空・航行情報などを分析した結果、ミサイルは渤海湾付近から発射され、南太平洋へ飛翔した可能性が高いとみている。
関連記事
2026年度上半期の空自の緊急発進は442回で、前年同期比約67%増。中共機への対応が285回と最多を占める一方、ロシア機への対応は152回と約2.6倍に増えた。北部・西部でも対応が大幅に増加した
防衛省統合幕僚監部は10月14日、中共海軍の空母「遼寧」を含む艦艇計4隻が沖縄本島と宮古島の間を通過し、太平洋へ進出したと発表。石垣島の南約250キロの海域で「遼寧」から艦載戦闘機が発着艦する様子も確認された
小泉防衛相は10月14日の衆院予算委で、中共政府の「新型軍国主義」言説に「核兵器も戦略爆撃機も持っていない国に対し、いずれも持つ国がそう主張する」と指摘。中共政府の言説に「共感する国がいるのか」と疑問を呈した
小泉防衛相は10月13日の閣議後記者会見で、北朝鮮による弾道ミサイル発射の増加や、中国の軍事力増強、ロシアと中国の軍事連携の動きなどを挙げ、日本を取り巻く安全保障環境が「戦後最も厳しく複雑」になっているとの認識を示した。
防衛省は10月9日、「即応宇宙輸送能力」の調査研究開始を発表した。有事などで失われた衛星機能の迅速な回復を目指し、民間からロケットの製造・打ち上げ方法の提案を募る。安全保障と宇宙産業の接点となる一方、実用化の時期や予算規模は未定だ