研究によると、テイクアウト用コーヒーカップに含まれるマイクロプラスチックは、熱い飲み物とともに飲料中へ放出される可能性があります。これらのカップの内側にあるポリエチレン製プラスチックコーティングは、高温下で微細な粒子を放出します。健康への影響については科学界でまだ統一した見解はありませんが、この現象は注目に値します。研究では、温度が60℃を超えるとマイクロプラスチックの放出量が大幅に増加し、とりわけ直径1μm未満の粒子が多く放出されることが分かりました。
毎日1杯で、年間数十万個を摂取する可能性も
一見すると紙コップですが、内側にはポリエチレン製のプラスチックコーティングが施されています。熱い飲み物を入れるたびに、そのプラスチック層から微細な粒子がひそかにコーヒーの中へ放出されている可能性があります。
朝のコンビニでコーヒーを1杯買ったり、外出先でラテをテイクアウトしたりする機会は多いでしょう。その紙製に見えるテイクアウトカップの多くは、実際には内側に薄いポリエチレン(PE)製のプラスチックコーティングが施されており、液漏れを防いでいます。
そして、そのプラスチック層が、熱い飲み物の温度によって微細なプラスチック粒子を飲料中へ放出している可能性があります。
最新の研究では、この現象の規模を定量化しようと試みました。その結果、高温によって確かにマイクロプラスチックの放出量が増加することが示されました。現時点ではマイクロプラスチックが人体に与える長期的な健康影響は明確になっていませんが、研究者らはこの現象を重視すべきだと考えています。

熱い飲み物で放出量が急増 温度が鍵
この研究は学術誌「Journal of Hazardous Materials: Plastics」に掲載されました。
研究の第1部では、一般的なプラスチック素材を対象とした既発表の30本の研究を分析しました。その結果、マイクロプラスチックの放出に最も大きな影響を与える要因は温度であることが分かりました。温度が60℃を超えると、マイクロプラスチックの放出量は明らかに増加し、特に直径1μm未満の超微細粒子が増加しました。
第2部では、市販のテイクアウトカップを直接検証しました。対象には、ポリエチレン製のプラスチックカップと、内側にポリエチレンコーティングを施した紙カップが含まれます。
研究者らは、それぞれのカップに5℃の冷水と60℃の温水を30分間入れ、一般的な冷たい飲み物と熱い飲み物の使用状況を再現しました。
その結果、両タイプのカップとも冷温条件を問わずマイクロプラスチックを放出していました。また、温度が上昇すると、プラスチックカップでは放出量が約3分の1増加しました。顕微鏡による分析では、高温によってプラスチック内壁の表面がより粗くなり、素材に物理的な劣化が生じていることも確認されました。
年間数十万個のマイクロプラスチック摂取——その意味とは
研究チームの推計によると、毎日約300mLの温かい飲み物を1杯飲む場合、
- プラスチックカップを使用すると、年間で約36万個のマイクロプラスチックを摂取する可能性があります。
- コーティング紙カップを使用した場合は、年間約24万個となります。
これらの数字は驚くべきものに見えますが、慎重に解釈する必要があります。
現時点では、マイクロプラスチックが人体の健康に与える長期的な影響について、科学界ではまだ統一見解に達していません。一部の研究では、炎症反応、酸化ストレス、免疫系の変化との関連が示唆されていますが、人体内での蓄積の程度や長期的な影響については、依然として多くの未知の部分があります。
米スタンフォード大学医学部の医師科学者であり疫学者でもあるデジレー・ラボー氏は、現時点でこの問題に注意を払うに十分な証拠はあるものの、健康被害を断定するには至っていないと述べています。
また、本研究ではコーヒーではなく純水を使用しており、実際の飲料に含まれる酸性度や成分がマイクロプラスチックの放出量に影響する可能性があります。さらに、ブランドや製造工程の違いによっても大きな差が生じる可能性があります。
「エコカップ」が安全とは限らない理由
堆肥化可能な素材や植物由来素材で作られた環境配慮型カップの方が安全だと考える人は少なくありません。しかし、包装研究者のリサ・ツィンマーマン氏は、これらの製品も本質的にはプラスチック素材であり、同様にマイクロプラスチックを放出する可能性があると指摘しています。
同氏によると、一部の堆肥化可能素材は分解しやすいよう設計されているため、むしろより多くのマイクロプラスチック粒子を発生させる可能性もあります。
分子生物学者のサマンサ・ロマニック氏も、一部の堆肥化可能素材には追加の添加剤が含まれており、その長期的な健康影響についてはさらなる研究が必要だと警告しています。
現在のところ、熱い飲み物用の容器として比較的安定していると考えられているのは、ステンレス、ガラス、陶器です。
「BPAフリー」でも安心できない理由
多くの人は「BPAフリー」の表示を見て、安全性が高いと考えています。しかしロマニック氏は、「BPAフリー」とはビスフェノールAを含まないことを意味するだけであり、類似した構造や作用を持つ他のビスフェノール類化合物を含まないことを保証するものではないと指摘しています。
そのため、高温の飲み物に関しては、ガラス、陶器、ステンレス製の容器が依然として理想的な選択肢とされています。
見落とされがちな「印刷インク」という経路
あまり議論されていない別の問題として、カップ表面の印刷インクがあります。テイクアウトカップは通常、重ねて保管されるため、あるカップの外側の印刷面が、別のカップの内側の食品接触面に触れることがあります。この現象は「セットオフ移行」(set-off migration)と呼ばれています。
スイス食品包装フォーラムの主任科学責任者であるジェーン・ムンク氏は、インク中の化学物質がカップ内面へ移行した場合、理論上は飲料中に入り込む可能性があると指摘しています。
この分野の研究はまだ限られており、実際の健康リスクは確認されていませんが、食品包装研究の分野ではすでに注目を集めています。
今日からできること 小さな一歩
この研究は、テイクアウトカップが直接病気を引き起こすことを証明したわけではありません。しかし、ひとつ明確に示したことがあります。それは、熱い飲み物がプラスチック素材に接触すると、マイクロプラスチックが実際に飲料中へ移行し、その量は多くの人の想像を超える可能性があるということです。
もし毎日テイクアウトコーヒーを購入しているなら、明日から自分専用のステンレス製保温ボトルを持参してみるのもよいかもしれません。
科学界がマイクロプラスチックの健康影響について研究を続けている現段階では、これはすぐに実践できる、マイクロプラスチックへの接触を減らす方法のひとつです。
本記事は英語版大紀元掲載の記事を、許可を得て転載したものです。
(翻訳編集 解問)
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