「経済安保協定」に変貌するCUSMA カナダはどう向き合うべきか
論評
現在、カナダが米国と進めている交渉は、単なる関税問題にとどまらない。交渉の焦点は、北米の経済・安全保障の枠組みそのもの、そしてカナダが経済安全保障を国家安全保障の一部として扱う用意があるのかという問題へと広がりつつある。
マーク・カーニー首相の「エルボーズ・アップ(強気で対抗する)」というメッセージには、もっともな懸念が背景にある。トランプ政権は、関税や市場アクセス、米国の圧倒的な経済力を積極的に利用する姿勢を示しており、カナダが自国の利益を守ろうとするのは当然である。しかし、現在の交渉はもう一つの重要な現実も浮き彫りにしている。カナダは米国経済から距離を置こうとしているのではなく、米国市場への優遇されたアクセスを維持しようとしているのである。
関連記事
アメリカの中間選挙を控え優勢が伝えられる民主党に対し、トランプ陣営の対イラン戦略の成果や豊富な選挙資金、民主党内の急進左派・民主社会主義者の台頭がもたらす逆風を分析。共和党が上下両院を維持する可能性を論じる
米国への不満から中国への接近を図る西側同盟国に対し、経済依存を武器化する中国の危険性を警告する論評。経済と政治を切り離せると過信し、過去の教訓を無視して中国を頼ることは、自らの弱点を晒す愚行だと説く
中国を製造大国へと導いた元首相・朱鎔基の足跡を辿る論評。WTO加盟や税制改革など現代の繁栄を築いた剛腕の功績と痛みを振り返り、現体制下で進む改革の形骸化を通じて全体主義の危うさを問い直す
米政権が発表した対イラン包括制裁「経済版Dデー」の実効性を検証。多国間協調の欠如や中国の抜け穴、米財政悪化のリスクを挙げ、過去半世紀の歴史から単独制裁の限界と世界経済への影響を分析した論評
米公的債務が40兆ドルを突破。膨らみ続ける巨大な借金は、将来の脅威というだけではなく、インフレや金利高騰を通じた「現在の生活費危機」そのものだ。財政規律を失った現状と経済崩壊の現実的なリスクに警鐘を鳴らす