小規模な研究で、減量の程度が同じでも、早い時間帯に食事を取ることが認知機能のより大きな改善と関連していることが示されました

「いつ食べるか」で脳の働きが変わる? 食事のタイミングと認知機能の関係

減量に取り組む人にとって、食べる量を減らすことによる恩恵は、体重が減ることだけではないかもしれません。小規模な無作為化試験によると、食事を取る時間帯を一日の早い時間に設定し、その時間の幅を短くすることで、計画を立てる力や問題を解決する力などの実行機能が高まる可能性があります。これは、比較した両グループで減量の程度がほぼ同じだった場合にも見られました。

この無作為化比較試験は、単純ながら重要な疑問に答えるために行われました。食べる量を減らして体重が落ちたとき、脳に良い影響があるとすれば、それは単に減量したからなのでしょうか。それとも、食事のタイミング自体にも意味があるのでしょうか。これまでは、この疑問に答えることが困難でした。時間制限食(食事を取る時間帯をあらかじめ決めて限定する食べ方)を実践する人は、そもそも体重が減る傾向にあるため、食事時間の制限が脳に与える影響と、減量そのものによる影響を切り分けるのが難しかったのです。

これを確かめるため、研究者らは過体重または肥満の閉経後の女性47人を募り、2つのグループに分けました。両グループとも、食事の摂取カロリーを1日500kcal減らしました。一方のグループは、通常どおり12時間の範囲内で食事を取りました。例えば、午前7時半に朝食を取り、午後7時半以降は何も食べないという形です。もう一方のグループは、一日の早い時間帯に食事を取り、その時間の幅を9時間以内に制限しました。このグループの大半は8時間以内に食事を済ませ、就寝の約4時間前までに最後の食事を終えていました。
 

研究結果

6か月後、両グループで体重の減少はほぼ同じでしたが、認知機能の改善が見られたのは一方のグループだけでした。一連の認知機能検査で、早い時間帯に時間制限食を実践したグループは、問題解決と計画立案の成績が有意に向上しました。これらは、研究者が「実行機能」と呼ぶ一群の能力に含まれます。実行機能には、ワーキングメモリー(作業記憶)、思考の柔軟性、衝動を抑える力、戦略的に考える力などがあります。記憶力と学習能力も改善しました。一方、反応時間と複数の作業を同時にこなす能力には改善が見られず、睡眠の質も、どちらのグループでも改善しませんでした。

その結果は、大きなものでした。

「統計的に有意な結果を得るのは難しいのですが、今回はそれが得られたので、驚きました」と、研究著者で、ラトガース大学の栄養科学教授および人間栄養・運動・代謝センター長を務めるスー・シェイプシズ氏は、エポックタイムズに語りました。

実行機能だけでも、ワーキングメモリー、認知の柔軟性、抑制制御、計画立案、問題解決、戦略的思考、衝動性の評価が含まれます。

「そして、最も大きな効果が見られたのが実行機能だったので、とても興味深い結果でした」と同氏は述べました。
 

食事のタイミングが重要かもしれない理由

この研究は、食事のタイミングがなぜ役立ったのかを証明するために設計されたものではありません。しかし、研究者らは有力な仮説として、概日リズム(体内の約24時間周期のリズム)に注目しています。私たちの体は体内時計に従って働いており、ほぼすべての臓器にも、その機能の働き具合に影響する一日の周期があります。

脳には、視交叉上核(体内時計の中枢となる脳の部位)と呼ばれる領域に、主時計があります。この時計は目に入る光によって活性化され、睡眠、体温、代謝、ホルモンの産生を制御しています。各臓器にも、「末梢時計」と呼ばれる独自の時計があります。何をいつ食べるかは、これらの時計の時刻を合わせる手がかりになります。通常、主時計と末梢時計は同調していますが、不規則な時間に食事を取ると、その同調が乱れることがあります。

今回の研究には参加していない、神経科学者でアルツハイマー病創薬財団の加齢・アルツハイマー病予防プログラム副責任者を務めるベッツィー・ミルズ氏は、エポックタイムズに対し、これまでの研究結果を総合すると、食事時間の制限による脳への恩恵は、食事を取る時間帯を一日の早い時間に移した場合に最も大きいことが示唆されると語りました。これは、研究者が「時間栄養学」と呼ぶ考え方です。

ミルズ氏によると、時間制限食が脳にもたらす恩恵は、一日の早い時間帯に食べ、夜遅い食事を避けることで、食事のタイミングを体の自然な概日リズムに合わせることに左右されるようです。
 

注意点と今後の研究

両研究者は、食事の質も依然として重要であり、食事を取る時間の幅を短くすることが、質の良い食事の代わりになるわけではないと注意を促しています。ミルズ氏は、野菜、果物、全粒穀物、魚など、加工をできるだけ加えていない食品を食べ、砂糖や超加工食品(を控えることが重要だと指摘しています。シェイプシズ氏も、今回の知見はあくまで予備的なものであり、現在も分析が続いているため、結論を出すには時期尚早だとしています。

今回の結果を踏まえ、シェイプシズ氏は、食事時間を定めることで効果が生じる仕組みを調べたいと考えています。また、この試験の参加者は減量に取り組んでいる女性だけだったため、減量を目指していない人にも認知機能への恩恵が見られるかどうかを検証したいとしています。

 

(翻訳編集 井田千景)

鍼灸医師であり、過去10年にわたって複数の出版物で健康について幅広く執筆。現在は大紀元の記者として、東洋医学、栄養学、外傷、生活習慣医学を担当。