15歳の「エイミー・リー」は、活気そのものといえる少女でした。友人との夜遅くまでのおしゃべりを楽しみ、あふれるエネルギーで学校のクラブ活動に打ち込んでいました。
ところが、ほぼ一夜にして、その輝きが失われたように見えました。自分の部屋にこもるようになり、彼女の世界は光るスマートフォンの画面の中だけに狭まっていきました。両親はその行動の変化を、思春期によくある反抗だと考えていました。しかし、「生きるのは本当に疲れる」と書かれた胸が凍るようなメモを見つけたことで、エイミーが引きこもるようになった本当の理由を知りました。
エイミーは重いうつ病と闘っていました。そして、こうした経験は決して珍しいものではありません。彼女の経験は、表面に現れにくい不安やうつ病が若者の世代全体に広がり、目に見えない流行として、今を生きる若者の心身の健康を脅かしていることを示しています。
2023年の青少年リスク行動調査では、米国の高校生の40%が持続的な悲しみや絶望感を報告し、20%が自殺を試みることを真剣に考え、9%が過去1年間に自殺を試みたと回答しました。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、一部の指標は2021年からわずかに改善したものの、若者の心の健康は依然として深刻な懸念事項です。
10代の心の不調を知らせる警告サイン
「心の不調は、体の病気とは違い、身近にいても気づかれないことがよくあります」と、ニューヨーク市保健精神衛生局の地域連携部門で地域への働きかけを担当するエコー・ソン氏は述べました。ソン氏は、新唐人テレビの番組「健康 1+1」に出演しました。
ソン氏は、ささいな兆候を早期に捉えるために、保護者や教師が10代の子どもの心の状態に積極的に目を配り、次の点に注意する必要があるとしています。
- 感情の変化: いら立ち、気分の落ち込み、引きこもりがちな様子、人との交流を避けようとする態度です。
- 思考や認知の変化: 否定的な考え、自分をおとしめる言動、活動への関心の喪失です。
- 身なりの変化: 身の回りの清潔を保たなくなることや、外見への関心が薄れることです。
- 生活習慣の変化: 眠れない、眠りすぎる、食欲がなくなる、食べすぎるといった変化です。
- 学業面の変化: 集中することが難しくなる、成績が下がる、登校を嫌がるといった変化です。
- SNSの利用の変化: SNSの利用を自分でコントロールできない、インターネットを使っていないと離脱症状(利用をやめると生じる不安やいら立ちなど)が現れる、画面を見る時間を優先してやるべきことや趣味をおろそかにする、睡眠のリズムが乱れるといった変化です。
ソン氏は、半年から1年の行動を振り返って比較し、こうした変化を把握することを勧めています。警告サインに気づいたら、速やかに、子どもが安心して率直に話せるような、支えとなる対話の時間を持ってください。
子どもとの強い結びつきを築くには
毎日、子どもと真摯に話し合う時間を設けてください。特に思春期は、保護者がより注意深く見守る必要のある重要な時期です。
「心を通わせながら話し、子どもが心を開いて、自分の生活で起きていることを話せる機会をつくってください。学校での出来事や、同年代の友人たちの行動や価値観をどう受け止めているか、といったことです」とソン氏は述べています。
「焦って質問しないでください。辛抱強く耳を傾け、静かにそばに座り、子どもの気持ちを丁寧に聞いてください。これは非常に効果的です」
子どもの感情を批判するのではなく、認めて受け止めることを身につけてください。ソン氏は、自分の子ども時代と子どもの状況を比較することを避けるよう勧めています。例えば、次のような言い方です。「あなたはこんなに恵まれているでしょう。私が子どもの頃は、こんなにすてきな服も、こんなに立派なおもちゃもなかったのよ。それなのに、あなたには何でもある。こんなに恵まれた暮らしをしているのに、何が不満なの?」
その代わりに、自分自身が経験した感情や、問題をどのように解決したかを伝えることで、前向きな行動の手本を示し、困難に向き合う子どもを導くことができます。年齢の異なる子どもたちと話す際には、それぞれの年齢に合った、分かりやすい言葉を使うことが特に大切です。
保護者は、支えとなる友人や導き手として、不安を感じる状況に子どもが少しずつ向き合えるよう手助けできます。例えば、友達をつくることや集団になじむことを怖がる子どもには、家庭でロールプレイ(実際の場面を想定して行う練習)をして自信を育み、少しずつ人との交流を促してください。
同調圧力から生じる不安に対しては、「そう感じているのは自分だけではない」と伝え、子どもを安心させることができます。多くの10代の若者が同じような気持ちを経験しており、ある程度の感情の浮き沈みは、成長過程の自然な一部である場合もあります。
SNSの影響を和らげるために、ソン氏は、子どもがデジタル機器を健全に使う習慣を身につけられるよう、保護者に次のような取り組みを勧めています。
- 画面を見る時間を把握する: 子どもが毎日どれくらいの時間をインターネット上で過ごしているか、また、それが運動、友人と会うこと、読書、睡眠など、インターネットを離れた健全な活動に影響していないかを確認してください。保護者は、子どもの電子機器の利用に、健康に配慮した制限を設けることができます。
- 子どもがインターネットで何を見ているかを把握する: 子どもが使っている機器や、閲覧・利用している内容を把握し、その内容に意味があるか、役立つものかを見極めてください。料理のレシピを探す、家族で出かける場所を調べる、ビデオ通話で親戚と交流するなど、より健全な形でインターネット上の活動に参加するよう促してください。
- よい手本になる: 保護者自身もSNSや電子機器の使い方を振り返り、子どもにとってよい手本となっているかを確認してください。
保護者は、子どもが心の苦痛を抱え続けたり、自分の状態について話せないままでいたりすることを放置してはいけません。そのような状態は、不安を強めるおそれがあります。必要に応じて、小児科医、看護師、心理の専門家、学校の教職員、カウンセラーなどに助けを求めてください。
10代の子どもに直ちに支援が必要な5つのサイン
ソン氏は、10代のうつ病に見られる次の5つの症状に、保護者が注意を払うよう呼びかけています。子どもにこれらのサインが一つでも見られた場合は、直ちに専門家による介入が必要です。
- 追い詰められている感覚: 今の状況を変えることはできないと口にします。
- 絶望感: 自分の状況は決してよくならないと信じています。
- 死へのとらわれ: 死について話したり、死に関する考えを口にしたりします。
- 心の不調がうかがえる創作や表現: 絶望や死を中心的な題材とする文章を書いたり、絵を描いたり、そうした音楽を聴いたりします。
- 自殺に関する発言: 冗談のように見える言い方であっても、自殺について口にします。
デジタルメディアやスマートフォンの普及は、対面での交流の減少、睡眠のリズムの乱れ、ネットいじめが起こりやすくなること、自傷行為に関する情報にインターネット上で触れることなど、さまざまな経路を通じて、こうした問題の一因となっている可能性があります。
保護者が問題を診断したり、完璧な言葉を見つけたりする必要はありません。見過ごせない変化に気づき、決めつけずに耳を傾け、早い段階で助けを求めることで、苦しんでいる10代の子どもの孤独感を和らげ、回復への道を歩みやすくすることができます。
(翻訳編集 井田千景)
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