背骨は33個の椎骨でできています。そのうち下部の9個はくっついて一体化して2つの骨になっていますが、残る24個はそれぞれ独立して動きます。動く椎骨の多くは、椎間板で隔てられ、動作中に椎骨を守っています。
この構造のすぐれた点は、骨盤とつながる部分がとても安定していて、その上の動きやすい部分を支えられることです。一方、それより上の関節は全体として大きく動き、体を前に曲げる、後ろに反らす、左右に倒す、左右にひねるといった動きに関わっています。これらを組み合わせることで、日常生活に必要な幅広い動作ができるのです。背中は、柔軟で実用的な構造といえます。
背骨の動きは、体の表面近くと深部にある多くの筋肉が連携することで生まれます。これらの筋肉は、体を動かすと同時に安定させる役割も担っています。どちらも、けがを防ぎ、より良く動くために欠かせません。
背骨は、幅広い動きができる柔軟な構造でありながら、とても丈夫です。ただし弱点もあります。椎間板がたった1つ不調を起こしただけで、背骨全体の機能に支障が出ることがあります。病的な変化が大きい場合は、動作や身体機能が著しく妨げられることもあります。
背中をいたわることは、自立した日常生活と生活の質を保つうえで大切です。
安全に、自立した毎日を支える5つのエクササイズ
ここでは、順を追って段階的に進められる5つのエクササイズを紹介します。私の患者さんにも好評で、私自身も気に入っているものです。ご自身に合うかどうか、かかりつけ医や理学療法士などの専門家に相談しましょう。
1. 体幹下部のひねり
体幹下部のひねりは、背骨の上部は動かさず、下部だけを動かすエクササイズです。背中の痛みで最も問題になりやすいのは腰で、報告されている背中の痛みの約43%が腰に集中しています。そのため、最初に行う運動に向いています。あおむけで行うひねりの大きな利点は、体重の負荷がかからないことです。椎間板に大きな負担をかけずに動かせます。
(Ceridwen Hunter/The Epoch Times)
手順1: あおむけになり、両膝をつけて90度に曲げ、足裏を床につけます。腕は伸ばしておくか、両手をおなかの上に置いても構いません。
手順2: 両膝をつけたまま、両脚をゆっくりと、できるだけ右側へ倒します。このとき左足が床から離れますが、問題ありません。動作中は、ゆっくり深く呼吸しましょう。私は患者さんによくこう言います。「呼吸は無料ですから、遠慮なくどうぞ。今のところは、ですが」
手順3: 両脚を開始姿勢に戻し、左側にも同じ動きを行います。両脚を倒してから戻すまでを1回と数え、呼吸に意識を向けながらゆっくりしたペースで、左右それぞれ15回を目安に行いましょう。
うまくできない場合は: 最初は脚をあまり倒せなかったり、左右で倒せる範囲が違ったりしても、できる範囲で大丈夫です。続けるうちに体がほぐれ、動かしやすくなります。
おすすめポイント: 腰をゆっくり穏やかに動かすことで、しなやかさと機能を保てます。負担が少ないので、痛みがあるときも動かしやすい運動です。
2. 体幹上部のひねり
最初のエクササイズでは腰を動かしました。次は背中の上部に意識を向けましょう。体幹上部のひねりは、腰の動きを最小限に抑えながら、胸椎(背中の上部から中央にかけての背骨)の動きを高める運動です。
(Ceridwen Hunter/The Epoch Times)
手順1: 横向きに寝て両脚をそろえ、股関節と膝を90度に曲げます。両腕を体の前にまっすぐ伸ばし、手のひらを合わせます。このとき、腕と太ももは同じ方向を向き、平行になります。
手順2: 上側の腕を、天井に向かって弧を描くようにゆっくり動かします。できるだけ体の後ろまで動かすか、手の甲の指の付け根が床に触れるところまで動かしましょう。手と目と頭の向きをそろえ、腕の動きに合わせて頭も動かします。痛みが出るほど無理をせず、ゆっくり行ってください。
手順3: ひねったら、その姿勢を5秒間保ち、ゆっくり開始姿勢に戻ります。
手順4: できるところまでひねって戻るまでを1回と数え、左右それぞれ3回を目安に行いましょう。
うまくできない場合は:腕を体の後ろまで十分に動かせなくても、動かせるところまでで構いません。続けるうちに、より動かせるようになります。動かせる範囲がとても小さい場合は、ひねった姿勢を長めに保つと効果的です。
おすすめポイント: 胸椎の柔軟性は、私たちの体のさまざまな動きを支えています。この運動は、胸椎の柔軟性を大きく高めてくれます。
3. 脚を「4の字」に組む体幹のひねり
次は、脚を「4の字」に組んで体幹をひねる運動です。体幹下部のひねりと同じように左右へ動かしますが、梨状筋(お尻の奥にある小さな筋肉)を重点的に伸ばせるため、一連の運動に取り入れやすい種目です。まず体幹下部のひねりで腰をほぐして温めてから、4の字のひねりに進むのがおすすめです。脚を左右非対称に組むことで、梨状筋がさらに伸びるうえ、体幹の筋肉の収縮が強まり、脚の重さによる負荷も加わります。
(Ceridwen Hunter/The Epoch Times)
手順1: あおむけになって膝を曲げ、両足を腰幅に開いて床につけます。左脚を右脚に重ね、左足首を右膝のすぐ上に置きます。腕は左右に広げるか、体の前に置きます。
手順2: 脚を組んだまま、両脚をゆっくり、できるだけ右側へ倒します。右の股関節の後ろ側が伸びてくるのを感じるはずです。体幹の筋肉に力を入れて、組んだ脚を中央に戻し、反対側へ倒します。
手順3: 組んだ脚を倒してから戻すまでを1回と数え、片側の組み方で15回を目安に行いましょう。その後、脚の組み方を入れ替えて、反対側も同じように行います。
うまくできない場合は: 最初は脚をあまり倒せなくても、できる範囲で大丈夫です。続けるうちに体がほぐれ、動かせる範囲が広がります。脚を元に戻すのが難しい場合は、腕を左右に広げると体を支えやすくなります。
おすすめポイント: この組み方では、上に重ねた脚の重さが重力でひねりを助けてくれるため、補助がないときより大きくひねれます。梨状筋にもしっかり働きかけます。梨状筋は厳密には背骨の一部ではありませんが、硬くなると不調の原因になることがあり、この運動なら同時にケアできます。
4. 立って行う体幹のひねり
立って行う体幹のひねりは、胸椎と腰椎(腰の部分にある背骨)を使い、注意深く左右へ動かす運動です。これまでのエクササイズで行った動きを組み合わせ、さらに体重の負荷を加えます。
(Ceridwen Hunter/The Epoch Times)
手順1: 両足を腰幅ほどに開いて立ち、両腕を体の前にまっすぐ伸ばして、手のひら、または握った拳を合わせます。
手順2: 背筋を伸ばしたまま、両腕を弧を描くように左へ動かしながら、体幹をゆっくり左にひねります。無理なく動かせるところまで動かしたら正面に戻り、少し止まって、右方向への動きを行います。左右でひねれる範囲が違うと感じるかもしれませんが、問題ありません。
手順3: 左右に動かして1回と数えます。筋力を鍛えるより、動かせる範囲を広げるための運動なので、30回を3セット行いましょう。
うまくできない場合は: ひねるのは、無理なく動かせる範囲までにとどめましょう。続けるうちにほぐれてきますが、常に痛みのない範囲で行ってください。
おすすめポイント: この姿勢では、背骨が体重を支えながらひねられます。背骨を動かすこと自体が目的の運動より、日常の動作に近い動きです。動かせる範囲を確保したあと、背骨を実際の動作で使えるようにするための次のステップになります。
5. 立って腕を振りながら行う体幹のひねり
先ほどの立って行う体幹のひねりは、ゆっくり慎重に、体を安定させて行う運動です。立って体重を支えた状態で背骨を動かすのに、とても役立ちます。腕を振りながら行うこのエクササイズは、そのすぐれたストレッチと準備運動に続いて、より速いひねりの動きを取り入れ、体をしっかり動かします。
(Ceridwen Hunter/The Epoch Times)
手順1: 両足を腰幅ほどに開いて立ち、両腕を体の横に下ろします。
手順2: 背筋を伸ばしたまま、両腕を弧を描くように左へ振りながら、体幹を素早く左にひねります。無理なく動かせるところまで動かしたら、止まらずに素早く右へひねります。素早く滑らかに動かし、カクカクしないようにしてください。左右でひねれる範囲が違うと感じるかもしれませんが、問題ありません。両腕は、力を抜いてぶらぶらと動かします。
手順3: 左右に動かして1回と数え、30回を3セット行いましょう。
うまくできない場合は: 壁を背にして立ち、ひねるたびに伸ばした手で壁に触れるのを目標にしてもよいでしょう。ひねるときに背中が丸まったり、姿勢が崩れたりするのを防ぎやすくなります。ひねる速度は、ゆっくりにしたり速くしたりして試してみてください。速い動きは、特に椎間板の問題や関節炎がある人には、不快感につながることがあります。体の反応に耳を傾けながら、必要に応じて速度を調整しましょう。
おすすめポイント: 先ほどの立って行うひねりが、しっかり型どおりの運動であるのに対し、こちらは少し「ぶらぶら」した動きで、変化をつけられます。実生活の動きにより近く、筋肉もより動的に働かせられると感じています。ほかの運動に慣れてから、このひねりに進みましょう。
しなやかな背骨は、天の恵み
これらのエクササイズは、背骨の柔軟性を保つのに役立ちます。背中や腰に痛みを抱える人は多いので、すべてできない場合は、できるものだけでも行ってください。私は、これらの運動を順を追って段階的に進められる点が気に入っています。皆さんにも気に入っていただけたらうれしいです。うまく取り組めること、そしてこれらの運動が皆さんの役に立つことを願っています。
(翻訳編集 井田千景)
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